Molecular Electronic-Structure Theory の感想

北欧は量子化学計算の理論、及びプログラム開発の盛んなところです。この本の著者であるHelgaker先生(Oslo大)は積分生成、Jorgensen先生(Aarhus大)はMCSCF、Olsen先生(Aarhus大)はCI/PTの分野で第一人者であると同時に、DALTONプログラムの主開発者でもおられ、本全体として実践的な記述になっています。
ページ数は900ページほどもあり、第2量子化に始まる基礎事項から、積分生成、HF、CI、MCSCF、CC、PTと系統的に進み、計算精度の検討で締めくくられています。式の扱いが丁寧で豊富なだけでなく、例題と解答が組になっている点もありがたいです。安い本ではありませんが、A.Szabo&N.S.Ostlundの"Modern Quantum Chemistry"には含められていない、最新の計算法の発展までカバーした優れた教科書としておすすめ出来ます。