SAPEURS - Gentlemen of Bacongo の感想
参照データ
タイトル | SAPEURS - Gentlemen of Bacongo |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Daniele Tamagni |
販売元 | 青幻舎 |
JANコード | 9784861524998 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 社会・政治 » NGO・NPO |
購入者の感想
サプールという行動は、もはや一つの文化として定着しつつあるような気がします。
貧困に疲弊している社会の中で、あえてその収入の大半をブランドスーツにつぎ込み、
休日になると着飾って街を闊歩する人達。
なんてバカバカしいことを・・・と思うかもしれませんが、
この一見奇天烈な行動の中には、劣悪な環境の中でも常に拠り所と希望を持って
前向きに生きていく人達のもの凄いエネルギーが込められています。
コーディネートに使う色の数が決まっていたり、社交場では紳士的に振る舞って地域の模範となる等、
伊達な服装からはちょっと意外なルールも厳しく決められていたりと、とても興味をそそられる活動です。
この写真集はポーズを決めたきらびやかなシーンだけでなく、その裏側(準備風景や普段の生活シーン等)
にも丁寧に入り込んでいる、しかし地元の人間ではない(イタリアの写真家)
距離感をうまく利用した少しドライな視点も交えている、とても質の高い写真集です。
海外では前に発売されていたのですが、評価が非常に高かったのか、中古でも数万円、新品だと10万円以上と、
とても手が出なかったので、今回の日本版の発売は素晴らしい幸運と言えると思います。
貧困に疲弊している社会の中で、あえてその収入の大半をブランドスーツにつぎ込み、
休日になると着飾って街を闊歩する人達。
なんてバカバカしいことを・・・と思うかもしれませんが、
この一見奇天烈な行動の中には、劣悪な環境の中でも常に拠り所と希望を持って
前向きに生きていく人達のもの凄いエネルギーが込められています。
コーディネートに使う色の数が決まっていたり、社交場では紳士的に振る舞って地域の模範となる等、
伊達な服装からはちょっと意外なルールも厳しく決められていたりと、とても興味をそそられる活動です。
この写真集はポーズを決めたきらびやかなシーンだけでなく、その裏側(準備風景や普段の生活シーン等)
にも丁寧に入り込んでいる、しかし地元の人間ではない(イタリアの写真家)
距離感をうまく利用した少しドライな視点も交えている、とても質の高い写真集です。
海外では前に発売されていたのですが、評価が非常に高かったのか、中古でも数万円、新品だと10万円以上と、
とても手が出なかったので、今回の日本版の発売は素晴らしい幸運と言えると思います。
コンゴ共和国の首都ブラザビルにあるボコンゴ地区に暮らす、SAPEURS(サプール)と呼ばれる集団の写真集。
インフラも整っていないような住環境に暮らしながら、彼らは収入の大部分を洋服を買うための貯金に充て、ハイブランドのスーツを身にまとって週末の街を闊歩します。
「おしゃれで優雅な紳士協会」(Society for the Advancement of People of Eleganceを意味するフランス語の頭文字を取ってSAPE、サップ)と名乗る彼らにとって、服飾によるエレガンスは芸術や信仰と同様に彼らの精神と深く結びついています。24歳のミシェルは、「コンゴのサプールは三度の食事にありつけなくても幸せなのです。なぜなら、しかるべき衣服を着ることは精神を養い、身体を幸福で満たしてくれるから。」と語ります。また、本物のサプールであるためには、単に良い服を着るだけでなく、高貴な行動規範が求められます。彼らは道に座り込むことを戒め、喫煙場所にいても必ず葉巻を吸って良いかと聞き、調和を愛し平和を求めます。
一方で、本書は、彼らのスタイルが植民地時代の行動様式や規範への逆行という矛盾をはらんでいることにも言及しています。フランス統治時代からフランス人に憧れ続け、70〜80年代にコンゴからフランスに渡った移民がブラザビルに持ち帰った文化、それがサプールの源流にあります。また、色の調和を重視したエレガントな着こなし(彼らが取り入れる色は一度に三色まで)をするサプールのポートレイトは、未整備なスラム街の風景と対照をなすものです。コンゴ共和国は世界の最貧国のひとつで、90年代には内戦が続いていました。
しかし、たとえフランス人を真似て始まったものだとしても、サプールとしての人生を選択することは彼らにとってのアイデンティティーそのものになっています。
インフラも整っていないような住環境に暮らしながら、彼らは収入の大部分を洋服を買うための貯金に充て、ハイブランドのスーツを身にまとって週末の街を闊歩します。
「おしゃれで優雅な紳士協会」(Society for the Advancement of People of Eleganceを意味するフランス語の頭文字を取ってSAPE、サップ)と名乗る彼らにとって、服飾によるエレガンスは芸術や信仰と同様に彼らの精神と深く結びついています。24歳のミシェルは、「コンゴのサプールは三度の食事にありつけなくても幸せなのです。なぜなら、しかるべき衣服を着ることは精神を養い、身体を幸福で満たしてくれるから。」と語ります。また、本物のサプールであるためには、単に良い服を着るだけでなく、高貴な行動規範が求められます。彼らは道に座り込むことを戒め、喫煙場所にいても必ず葉巻を吸って良いかと聞き、調和を愛し平和を求めます。
一方で、本書は、彼らのスタイルが植民地時代の行動様式や規範への逆行という矛盾をはらんでいることにも言及しています。フランス統治時代からフランス人に憧れ続け、70〜80年代にコンゴからフランスに渡った移民がブラザビルに持ち帰った文化、それがサプールの源流にあります。また、色の調和を重視したエレガントな着こなし(彼らが取り入れる色は一度に三色まで)をするサプールのポートレイトは、未整備なスラム街の風景と対照をなすものです。コンゴ共和国は世界の最貧国のひとつで、90年代には内戦が続いていました。
しかし、たとえフランス人を真似て始まったものだとしても、サプールとしての人生を選択することは彼らにとってのアイデンティティーそのものになっています。