投資は｢きれいごと｣で成功する――｢あたたかい金融｣で日本一をとった鎌倉投信の非常識な投資のルール の感想

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　　新井ファンドマネージャーの新著を読むと鎌倉投信の、他社と競合しない、リスクを極力押さえた、「リスク10％、リターン5％」というブルーオーシャン戦略がよく分かります。回転売買を強要する多くの証券会社とは異なり、鎌倉投信が販売しているのは「結い2101」唯一本であり、この一本のファンドにはスタッフの魂が込められています。この本の126ページには「私は、自分の資産を公開しています。持っている金融商品は『結い2101』だけで、本書の執筆時評価額は310万円。これが私の全財産です。他の金融資産は、鎌倉投信の創業時に使ってしまいました。」との記載があります。つまり私財を投げ打って新井氏はこのファンド一本にすべてを賭けているのです。一方多くのファンドマネージャーは資産公開もしておらず、自分が運用するファンドに投資もしていません。著者はさらに続けます、「私は『結い2101』に覚悟と誇りを持っていますので、当然お金を投じていますし、資産も公開しています。とても普通のことだと思うのですが、これが非常識になる業界には少し残念な気持ちもあります。」新井氏としては、人様の資産を億単位で預るファンドマネジャーとして当然のことをしているだけかもしれませんが、それをやってくれるファンドマネージャーがなんと稀有なことか。しかも、新井氏は個人投資家に向けて、投資の基本は分散投資、と真っ当なアドバイスも送っています。
　この本を読むと鎌倉投信の戦略が理論的に解説されており、基準価格が半値になっても、「結い2101」の真価が損なわれない理由が分かってきます。しかし、それ以上に「結い2101」にかけた新井ファンドマネージャーの熱い想いが伝わってきます。鎌倉投信ファン必読の書です。