高校数学でわかるマクスウェル方程式―電磁気を学びたい人、学びはじめた人へ (ブルーバックス) の感想

50年前、私は理科系の学生だった。
しかし見事に勉強しなかった。
だから当然、電磁気学も挫折しマクスウェル方程式を理解するなど、
遠い話であった。
定年となり、少しでも自然の本質に近づきたいと考えており、
再勉強をはじめた。
そんな中で出会ったのが本書である。
内容については著者のコメント、目次などがアップされているので省略するが、
とにかくすんなりと読めて
気が付くとマクスウェル方程式に到達しているのだ。
快感である！
専門書のあの小難しい解説は｢なんだ！｣という感じである。
この本を足掛かりに、
ステップアップしてさらにマクスウェル方程式の本質に迫りたいと考えている。

この本は２部構成である。第１部では、高校物理の電磁気の分野の分かりやすいおさらい。そして高校の電磁気の公式が、大学で習うマクスウェルの４つの方程式のいずれに対応するかを示している。
第２部では、これら高校物理レベルの電磁気学の法則が、マクスウェルの方程式にレベルアップされる。マクスウェルの４つの方程式は全て積分方程式なので、微積分の知識がいるが、これらの数学概念の説明も本書自体に含まれている。また数式を導入する説明は、至極丁寧であるので、ゆっくり読んでいくように心がけさえすれば、心配には及ばない。別に面倒な数値計算は要求されない。なお、微積分の高校レベルの定義と三角関数の知識が少々あれば、さらに読みやすいかもしれない。
本書の目的は、聞こえに高い「マクスウェルの方程式」が高校物理の電磁気分野と全く対応していることを示し、大学の電磁気学へのアレルギーを解消させるものと思われる。また第１部は電磁気の初歩的な部分の手頃な概説ともなっているので、数学苦手だけども電気と磁気について知りたいという好奇心旺盛な方にもお勧めできる。0