ドヴォルジャーク (作曲家・人と作品シリーズ) の感想

チェコ語・ドイツ語による一級文献の孫引きに、日本語による晦渋で冗長な評語をくっ付けた奇妙な文献（？）です。例えば歌曲集「夕べの歌」（全12曲）については、「いずれの歌も国民的な音楽としての顕現はそう強くはないが、少なくとも作曲家の心には実験的な骨組みのなかでそうした国民的様相をかいまみせているといえる」というような。枝葉末節なデータは多いですが、全体には渡鏡子氏による旧版の方が簡潔でよかったです。種本は旧版と同じショウレックによる評伝なので、研究者はそちらを参照することを勧めます。一般の読者にはJarmil Burghauser による英語版の評伝が宜しいかと。