エスケイプ の感想

正直言いまして、「Bad」とか「Jam」とか、一聴しただけでハートを鷲掴みされるようなキラーチューンはないものの、十分楽しめる、そして、何度でも聴きたくなるような内容に仕上がっていると思います。
思えば、二番煎じを嫌い、同じ立ち位置に甘んじることなく、時代の最先端を突き進もうとしたMichael Jacksonであった、と思います。
しかし、生前最後のオリジナルアルバムとなってしまった「Invincible」収録曲は、凝り過ぎの感があり、いつでも口ずさめるような親しみやすさがなかったような気がします。
この「Xscape」は、アルバム「Bad」以降に録音され、当時はお蔵入りになった作品に手を加え、現代的な装いに身を包んだ曲(１曲目から８曲目)とそのOriginal Version(９曲目から１６曲目)＋Justin Timberlakeが加わった曲が収められています。
驚くべきは、その完成度。それは、周りが必死で手を加えて、今風のサウンドに生まれ変わらせようとした前半の曲ではなく、後半のOriginal曲に強く感じることができると思います。
そして、各曲が内包する愛らしさ、親しみやすさに感じ入る時、人々は改めて、とてつもない才能を失ったことに気付かされるのでは？
まだ未発表曲があるようで、少なくとも２枚のアルバムが、これから３年ごとに発表されるようです。
さて、４曲目「A Place With No Name」を聴いて、これは「名前のない馬」に似ているな、と思ったら、やはり、その「A Horse With No Name」 でした。Original Versionを聴けばすぐにわかりますが、ここでのアレンジ、秀逸だと思います。0