偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫) の感想

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参照データ

タイトル偉大なる、しゅららぼん (集英社文庫)
発売日2013-12-13
製作者万城目 学
販売元集英社
JANコード9784087451429
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者

購入者の感想

「しゅららぼん」という何ともそそる響き。これは一体なに?と読み出しました。

 今度は『プリンセス・トヨトミ』のように大がかりなSF仕掛けをもくろむこともなく、本来の万城目ぶしが冴えわたり、ふしぎな世界に拉致されて、その拘束力が最後まで持続し、なんともいえない充実感がありました。

 琵琶湖という水の力を得て、湖畔に住みつづける、ふたつの家系、日出と棗。意識を扱うらしい日出と、力を扱うらしい(実は違ったのですが)棗は、犬猿の仲、なぜなら、どちらも相手の力が、耐えられないような(下品な)音となって鼓膜を襲うので、相手が動くと、自分も力を使えなくなる、という両すくみ状態らしいのです。
 主人公涼介は能力を認められ、高1になった年に日出本家の城に迎えられ、能力を磨くとともに、舟で送り迎えされて高校に通いだします。伯父淡九郎、おてつだいのような濤子、従兄の淡十郎、その姉で、他人の内心の声がすべて聞こえるために引きこもりになった清子らと、時代劇のような生活を始めます。
 
 物語は涼介の学校生活を中心に描き、彼は一族のおかしな儀式や、「力」について首をひねりつつ学んでゆきますが、横柄な従兄が校長の娘に恋をしたり、涼介自身は、仇敵の棗一族の娘にひかれてしまったり・・・。
 事態は突然、もと城主の家系だった校長がやってきて、両方の一族に、湖畔から三日以内に出てゆくように申し渡し、強烈な「力」で当主ふたりを昏倒させてしまうところから急展開。

 いったい何が起きたのか。涼介、淡九郎は、清子のパワーに助けられ、敵の棗広海と協力し、特に涼介と広海がふたりあわせて力を発したときのすさまじい音が「琵琶湖のぬし」を呼び寄せてしまうことに気づきます。もうこのあとは、超能力と湖のぬしとの関係をめぐって、奇蹟、どんでん返しの連続です。

 ラストは思い切ったタイムファンタジーですが、またもうひとつどんでん返しも用意されており、青春物語としてあまずっぱくせつない後味が、琵琶湖の青い水を背景に広がります。

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