屍者の帝国 (河出文庫) の感想

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参照データ

タイトル屍者の帝国 (河出文庫)
発売日販売日未定
製作者伊藤 計劃
販売元河出書房新社
JANコード9784309413259
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » SF・ホラー・ファンタジー

購入者の感想

色々なご意見ありますが、読み易いか?と言われれば読み難い類でした。でもSFはそんな文体のものが多く、まだ読み易いほうですかね、
伊藤計劃氏が遺されたブログ、作品に目を通してきましたが、氏の思想や精神がここにはあります。実装が円城塔氏によるものではないか?プロローグは伊藤計劃氏、エピローグは円城塔氏?などと勝手に思いを馳せながら、これから円城塔氏の作品を読んでみたいと思います。

伊藤さん大ファンの友達は「ちょー駄作」と言い、円城さんファンの友達は「普段の円城さんみたく難しくなくて面白い」と言ってましたね。
私は、伊藤さんの本を読むのはこれが初めて。円城さんは道化師の蝶を途中で挫折してます。両作家に思い入れがないからか、興味深く読めました。

19世紀ロンドン+ワトソン=ミステリーを勝手に期待していたら、冒険小説でしたか。出だしでロンドンで講義を受けてたはずが、1章でいきなりアフガニスタンにいて、ビックリしました。ウェイクフィールドはどこ行った?!
丸々1章は、文章のリズムに慣れるので精一杯で、正直、何が何やら意味不明でした。過去形で終わらない文章が、なんとなく気持ち悪かったです。状況説明が頭に入ってこなくて、何度読むのを止めようと思ったことか。

2章は舞台が明治時代の日本です。自分が住んでる国なので、想像可能な情景が現れ、キャラも増えて会話も増えてきます。バーナビーとワトソンのやり取りが好きですねー。文章にも慣れ、幕末好きなのも手伝って、読むスピードが格段にアップしました。

3章は、ザ・ワンと対決します。菌株だの保守派だの拡大派だの、ザ・ワンの話はさっぱり理解できてません。が、そこは軽くスルーしても(笑)、冒険小説として面白かったですよ。

正直、1章が終わったら本を閉じるつもりでした。でも今は、最後まで読んで良かったと思います。伊藤さんファンの子に面白かったと言ったら、「それ、本当に本気で言ってる?!」と言われてしまい、思わず笑ってしまいましたが。

私は、ファンタジーは好きだがSFはあまり読まない。また、マトリックスや攻殻機動隊のような近未来をテーマにした作品、特に人類とITテクノロジーがどのように融合するかをテーマにした作品群にはどうにも馴染めない、そういう人種である。にもかかわらず、本作に手を出したのは、夭逝した天才作家の絶筆を芥川賞作家が手がけた作品で、シャーロック・ホームズを彷彿とさせる世界観のおもしろさに惹かれたからである。

読後感は、一言で言えばおもしろかったけどよくわからない本、ということに尽きる。19世紀後半のアフガニスタンや日本などで主人公のワトソンなどが巻き起こす冒険は、伝統的な冒険活劇小説の手法を踏襲していて実に面白いし、同時代の実在・空想上の人物をまとめて登場させ、彼らを軸にした小ネタも満載で(日本編の「大里化学」には大笑いさせてもらった)読んでいて楽しかった。しかし、「屍者と生者の違いは何か、魂は実存するのか」という本作の命題にはどうしても馴染めず、有り体に言うとついて行けなかった。この「屍者」をロボットに置き換えて読むとそれなりに理解はしやすくなるが、それでもどこかしっくりこない。

これ以上書くと、自分がいかに読解力のない馬鹿かということを延々独白しているような気分になるが、本作にはその世界観にどっぷり浸かれる人と、そうでない人を明確に区別する壁がある。伊藤・円城両氏や押井守氏の作品世界になじんでいる人にとっては、本作は非常に面白いと思う。ただ、SFに対する適性の高くない私のような読者には、少々敷居の高い作品である。

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