ハイデガー読本 の感想

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参照データ

タイトルハイデガー読本
発売日販売日未定
販売元法政大学出版局
JANコード9784588150708
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

購入者の感想

 本書はハイデッガーを専門に研究している日本の哲学者によるハイデッガー研究のガイドブックです。執筆者は第一線で活躍している実力者揃いです。ハイデッガー研究の初期から後期までハイデッガー哲学の全容が捉えられるよう網羅的に編集されています。ハイデッガー研究会とハイデッガー・フォーラムで活動している研究者が多数執筆に参加しています。「存在の意味への問い」から「存在の真理」へと進むハイデッガー哲学の全容を理解するのは容易ではありません。しかし、本書があれば研究を進める道標になることは間違いありません。ハイデッガー全集を構成する各巻の内容紹介と標準的な用語索引は原書を読む手引きとなります。「エアアイグニス」〔独ereignis、英enowning,event〕の訳語は「性起」とか、「存在をよび求める促し」というように日本語に訳されていますが、『哲学への寄与論稿』の英語版新訳では「出来事」〔event〕と訳されていることがユニークです。この言葉の理解が後期ハイデッガー思想の鍵となっています。高校倫理の教科書では、「存在忘却」、「故郷の喪失」などの用語が後期思想の鍵概念として登場しています。また、『技術と転回』における近代技術批判に関しては「ゲシュテル」〔Gestell〕が鍵概念となり、「総かり立て体制」とか、「集立態」といった訳語が付けられている。このような難解な用語を日本語としてどのように理解し、訳語を付けるかということがハイデッガーの書物を原語で読む場合の理解を阻む大きな要因になりますが、本書の解説はそのような困難に関しても、重要な示唆をあたえてくれます。また、読者としてありがたいのは、『ヘルダーリンの詩作の解明』など、ハイデッガーの詩論の理解に関しても優れた解説が付けられていることです。
 このように、本書は今までに出版されたどのハイデッガーガイドブックより内容的に優れているだけでなく、ハイデッガーの後期思想に関して多くの解説が加えられているのが特色です。これからハイデッガー哲学を本格的に学ぼうという人のための最良の案内書として本書を薦めると同時に、故渡邉二郎氏が遺した『哲学の寄与論稿』の翻訳原稿が出版されることを楽しみにしております。

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