マスタースイッチ 「正しい独裁者」を模索するアメリカ の感想
参照データ
タイトル | マスタースイッチ 「正しい独裁者」を模索するアメリカ |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ティム・ウー |
販売元 | 飛鳥新社 |
JANコード | 9784864101868 |
カテゴリ | ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 各国経済事情 » アメリカ・カナダ・オーストラリア |
購入者の感想
いまとなっては「自明の理」のように受け入れられているシュンペーターの創造的破壊の理論の盲点を指摘する書。情報産業においては、創造的破壊は必然ではなくむしろ偶然だったり、人工的におこしたりするものであることが、電話、ラジオ、映画、テレビのここ100年の歴史を辿ってみるとよくわかる。ネットワークの利便性を追求すれば規模の拡大を追求せざるを得ない。よって、既存のネットワークメディアを支配する独占企業は、破壊的な技術を携えて市場に乗り込んでくる新興企業を潰すか、排除するか、呑みこむかして帝国を守ろうとしてきた。ときにはプロパガンダや政府との裏取引も利用した。この現象を著者は、支配者の座を奪われるのを恐れて、我が子を次々と食い殺してしまうギリシャ神話のクロノスに喩える。分権、自律を志向して設計されたインターネットも例外ではないと著者は言う。アマチュアの趣味の世界から私企業のビジネスの世界に舞台がうつれば、独占を志向することがむしろ自然なのである。