Other Voices, Other Rooms (Vintage International) の感想

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この本に出会ったのは３７年前、私が１９歳の時でした。
以来、ずっと手許にあって読むのは平均年１回。都度心が慰められます。
主人公少年ジョエルの（心の）旅に心打たれ、街や村そして廃屋や森へと魂は誘われます。
著者カポーティの瑞々しい、それでいてどこか猟奇（美）的な文体は他の本では見出すこと不可と思います。
訣れ・遡行・遁走がこの本のライトモチーフ。
大都会からディープサウスの中都市へ、そして村へ、森奥の館へ、廃屋へと少年の旅は続き、老人に遇い、少女と語り合う。
物語はそれで終わりでなく、木立に舞う大きな蝶や大雨の観覧車などが少年の眼と心を通して読者に不思議な体験をもたらします。
主人公ジョエルが母を喪くし住む町を離れ、見知らぬ父の住むという未知の国