Behind the Curtain: Football in Eastern Europe (English Edition) の感想
参照データ
タイトル | Behind the Curtain: Football in Eastern Europe (English Edition) |
発売日 | 2012-04-09 |
製作者 | Jonathan Wilson |
販売元 | Orion |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | 洋書 » Subjects » Sports » Football (American) |
購入者の感想
どうしてある一部の人々は東欧に魅惑されるのでしょうか?この著者もこの種族の一人です。そしてその対象は東欧のサッカーです。著者は、それぞれの東欧の国々がもつ輝かしいサッカーの歴史をたどります。ハンガリーのマジック・マジャール、イングランドのワールドカップ出場をストップした1973年のポーランド代表、ソヴィエトのチームとして初めてヨーロッパカップ(cup winners cup)を取ったディナモ・キエフ、ヨーロッパチャンピオンに輝いたユーゴのレッド・スター、ルーマニアのステアウア・ブカレストそして98年のワールドカップ3位のクロアチアなどの過去の栄光が非共産化の後のそれぞれおぞましい現状と比較される形で紹介されます。読者がここに見出すのは、グローバリゼーションの中で最底辺に沈む旧共産圏のクラブレベルでのサッカーです。昔から、試合や審判の買収そして腐敗自体はこれらの国では決して珍しいことではありませんでした。しかしながら国からの補助金がなくなる中で経済や財政に余裕のないこれらの国のクラブは一部の例外を除いてチャンピオンズリーグに代表される西側の資本主義の仕組みの中に末端として組み込まれたようです。著者は、その構図の中でサッカーは限りなく同質化していくと結論付けています。と同時に”何か定義できない何かが”失われたというのです。でも本当にそうなのでしょうか。新しいパーソナリティはこれからもその土壌の中から生まれてくるというのはロマンティックな幻想なのでしょうか。