無限 その哲学と数学 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル無限 その哲学と数学 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者A.W・ムーア
販売元講談社
JANコード9784062921411
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 形而上学・存在論

購入者の感想

野矢茂樹著の無限論の教室 (講談社現代新書)にて本書が勧められていたので手にとった。
「無限論の教室」を読み感銘をうけ、尊敬するその著者が勧めるのならばさぞ素晴らしいのであろうと期待していた。野矢茂樹氏はこの文庫の解説を書いた人物でもある。

哲学に近い数学基礎論という分野を専攻する私にとって哲学的にはとても面白く読めた。しかし、数学的観点からみると本書は杜撰に見える点が多い。

例えば、340頁には
「空集合の唯一の要素は、その空集合そのものである」
とある。数学的に厳密な立場からすればこれは到底看過できない決定的な間違いである。空集合φと空集合のみ要素とする集合{φ}を取り違えてしまうのは、基礎論の初学者にとっては犯しやすい勘違いである。哲学者とていえ、基本的な数学的素養は身につけておくべきだろう。

また、374頁には、
「ある複雑な種類の集合[ωのべき集合]が存在し、その集合の要素は、別のこれまた複雑な種類の集合[ω]のすべての要素を要素とするような集合である」
とあるが、この記述は非常にわかりにくい。数学を学んだものにとっては、自然数全体の集合ωに対して、ωのべき集合はωの部分集合全体の集合である、つまり、ωのべき集合はωの部分集合であるという言葉遣いをすれば良いのにそれをしない。

最後に、294頁において順序数について3つの条件を挙げている。1番目は空集合は後継元(successer)とならない順序数である、2番目はいかなる順序数についても後継元をもつ。そして3番目はこうだ。
「順序数のあらゆる集合(有限であれ無限であれ)に対して、それら全てに後続する最初の順序数のものであるような別の順序数が存在する」
これには正直唸った。"後続する(success)"という言葉は、successer

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