覆す力 (小学館新書) の感想

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参照データ

タイトル覆す力 (小学館新書)
発売日販売日未定
製作者森内 俊之
販売元小学館
JANコード9784098251957
カテゴリ » ジャンル別 » 趣味・実用 » 将棋

購入者の感想

森内は大棋士。そう言われて異論を挟む者はそういない。誰もが認める天才であることに疑いの余地はない。
だが、本書を読んでみると、当の森内は微塵もそういった傲慢さや別人感覚がなく、謙虚さが随所に見られる。悪まで自分は普通の人間だというのだ。永世名人が何を言う。そう思われる方もいるかもしれないが読むとぶれない軸があるのだ。鉄板の森内。受けの根幹はこの考えから生まれているのだと思わせる。
羽生善治という巨星に隠れた時代が長かったのもあろう。しかし、そこで腐らず、諦めず、30歳を過ぎて大輪の花を咲かせた彼の謙虚さから生まれる考え方・哲学は、アマで将棋を嗜む人は勿論、ビジネスや勉強にも通じるものが多々ある。森内を知るどころか、それ以上に得るものが多い一冊になっている。予想を遥かに超える良い本であった。

将棋の棋士が著者となっている本は、どれも面白い印象がある。
故・米長邦雄永世棋聖、羽生善治三冠、谷川九段、加藤一二三九段、
最近の渡辺明二冠の「勝負心」、どれもなるほどと思わされた。
今回の森内俊之竜王・名人の本も例外ではない。

この本は森内竜王・名人の自叙伝的な色彩が濃く、
その中で、いろいろな思いが披露されていく。
後ろの章では勝負哲学がプロ野球やF1、テニスといった
スポーツなどの具体的なエピソードに絡めて紹介されている。

中心となるのは、渡辺二冠の本もそうだったが、羽生三冠への思いだ。
森内竜王・名人は羽生さんとは小学生以来の知り合いというか、ライバル。
(森内氏はこの本の中で、「ライバルというより仰ぎ見る存在」といったことを書いているが)
そして、常に羽生さんの方が先に進んでいた。

ビジネス書的な見方をすると、参考になるのはこのあたりから。
(前半のカレーのエピソードなど、最初から面白いのだが)
私の勝手な見方だが、「羽生世代は強い」とずっと言われてきているが、
羽生世代の中でも、棋戦で活躍する棋士は絞られてきている気がする。
羽生さんはもちろん強い。森内竜王・名人だって言うまでもなく強い。
しかし、それ以外の棋士は、以前に比べるとどうだろうか。
羽生世代ではないが、谷川九段もA級から陥落してしまった。

森内竜王・名人は他の羽生世代の棋士と何が違うのだろう、それが疑問だった。
しかも、本書で改めて気付かされたが、羽生世代の中でも、
才能の開花は遅いほうだったのだ。

結局、地道な努力と、敗北に学ぶこと、負けても次につながるような戦い方をすること。
さらに、「羽生さんでも負けるんだ」と思い、勝機があると考えること。
オールマイティーを目指さず、自分の勝てるところに力を絞ること、そういった考え方によるらしい。
奥さんと出会ったことがプラスになったと書いているのも、微笑ましい気がした。

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