MIDDLEMARCH (illustrated, complete, and unabridged) (English Edition) の感想

George Eliot　(1819-80) の最大の長編。英国小説史上最高の名作の一つとされている。
１９世紀の、ヴィクトリア朝時代のイングランドの地方都市ミドルマーチ（コヴェントリーがモデル) を舞台に、様々な人間模様が織りなす物語。
A Study of Provincial Life という副題がついているように、当時の社会状況とその中に息づく人々の生活を詳細に、スリリングに、感動的に、興味深く描いている。
幾組かの男女の愛のありよう、それぞれの家庭、地域社会を描いて、宗教と道徳、ヒューマニティと偽善、希求と挫折、堅実と放縦、罪と贖罪など、ときに著者自身が１人称でコメントしたりして、奥深い。
この時代独特の英文はいささか読みづらく、頻繁に出てくる引用も難解だが、読み終わったあとの充足感は得難い。
"One of the few English novels written for grown-up people." とは Virginia Woolf の言葉。