ライク・ア・ヴァージン ビジネススクールでは教えてくれない成功哲学 の感想

売上高約2兆円、世界34カ国にて50,000人を雇用するヴァージン・グループ創業経営者のリチャード・ブランソンによる、経営哲学を示した本です。

400社を超える企業群で形成されているヴァージン・グループは、実は日本型の財閥・系列モデルを採用している、欧米ではユニークな企業グループとして知られています。

一般に、財閥・系列モデルは古いと言われることもありますが、このヴァージン・グループの成功を考えると、そうした考え方自体が古ものだとも言えそうです。事実、本書には、僕たちがいつしか忘れてしまった、日本的な価値を再発見することができます。

・ぼくにとって事業を立ち上げる上で一番大切なのは、自分が誇れることをやり、才能ある人を集め、他の人たちの人生に大きな違いを生むような何かを創り出すことだ。（p25）

・現場に出て、社員の話に耳を傾け、彼らの思いを引き出し、そこから学ぼう。またリーダーなら、飛び切りの褒め上手になりたい。公然と社員を批判するのは絶対にやめる。キレない。（p27）

・会社と従業員の関係を端的に表すバロメーターは、従業員が「われわれ（We）」と「会社（They）」という言葉をどのように使い分けているかだ、とよく思う。（p73）

・わかりきったことのようだが、あらためて言っておこう。一流の製品やサービスを提供し、会社として成功を収め、それを持続するには、仕事熱心で意欲的で献身的な従業員の支えが不可欠だ。従業員に権限を与え、優れた判断を下せるようにすることは、起業家の最も大切な仕事の一つといえる。（p116）

今こそ、多くの日本人が読むべき１冊です。400ページを超える分厚い本ですが、文字数はそれほど多くはなくて、翻訳書にしては、こなれた日本語で読みやすくなっています。