日本美術図解事典―絵画・書・彫刻・陶磁・漆工 の感想

ジャンルごとにジャンル史概論、詳細な鑑賞ポイント解説の構成。図版、表、チャート豊富で、まるで家電製品の取扱説明書のように解説に徹している（１ジャンル４５〜５０分で読解できる程度の内容）。これほど親切で網羅的な事典はそうあるものでは無いと思う。

よくある「解説本」は、本書より内容が限定されている、素人にとっては情報量の少ない高解像度の大写真が掲載されているだけ、などの物が多い。しかし本書はそれらとは一線を画す。

価格￥ 3,990は吟味を必要とする価格帯だと思うが、この一冊を携えるだけで主要日本美術の展覧会にガイドを雇って赴くようなものであるから、大変安いと思う。

レビュアーは去年になってから突如美術鑑賞を始めた。２０１２年度美術検定で３級を取ったので、客観的には「特に美大を目指すなどしない高校生レベルの知識の鑑賞者」であると思う。その程度の知識でも、十分楽しめている。