Stephen Hero (The precursor of A Portrait of the Artist as a Young Man) の感想

言わずと知れた『若き芸術家の肖像』の前身となる作品であり、未完の習作であるが、後年のジョイスにはない小説らしさが見られる、何とも心嬉しい作品。
細かな設定は『若き芸術家~』と同じであるが、内容には固有の挿話が多く、『若き芸術家~』において捨象されてしまった｢芸術の三角錐｣や｢母親とイプセン｣など、見捨てて行くにはあまりにも魅力的過ぎる言葉達の数々。
また、両作品を個人的に比較・検討してみるのも楽しいかもしれませんよ。