年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学 の感想

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タイトル年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学
発売日販売日未定
製作者エンリコ・モレッティ
販売元プレジデント社
JANコード9784833420822
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

購入者の感想

タイトルに惹かれて思わず購入してしまいました。
「住むところで年収が変わるのであればいくらでも引越してやる!」と。

さまざまなリサーチやデータを元に、年収が住所によって決まることを明らかにした、一冊です。

「世界の電話通話、ウェブサイトへのアクセス、投資資金の流れの九五%は、
比較的近接した地域内で起きている。
むしろ、今日のハイテク産業は、二〇年前に比べて一部の土地への集積がさらに加速している」
といったデータなど、普段気にしなかった年収と住所の関係が詳しく書かれています。

現在地方都市に住んでいますが、引っ越ししてもいいかな、と考えさせられました。

数字が多く出てきますので、数字が苦手な人にはあまりお勧めしませんが、
データとお金が好きの方はぜひお読みください。

以下に、私がこの本を読んで参考になった部分を引用して紹介します。

研究によると、ある都市に科学者が一人やって来ると、
経済学で言うところの「乗数効果」の引き金が引かれて、
その都市のサービス業の雇用が増え、賃金の水準も高まることがわかっている。

ドットコム・バブルの最盛期だった二〇〇〇年、識者は口をそろえて
「ニューエコノミーの登場により、企業も個人も地理的制約から解き放たれる」と主張した。
しかしすでに述べたように、実際には、それとは逆のことが起きている。

フランスのインターネット関連産業についての研究によれば、
ワールドワイド・ウェブが登場して以来、インターネットが生み出した雇用は一二〇万に達している
(ソフトウェアエンジニアなど、インターネットに直接関係する仕事と、
オンラインショッピングの配送など、インターネット産業以外の仕事の両方を含む)。
一方、消滅させた雇用は五〇万。
つまり、インターネットのおかげでざっと七〇万の雇用が増えたことになる。
問題は、雇用の消滅が幅広い地域で起きるのに対し、雇用の創出がいくつかの地域に集中することだ。

本の題名から僕が思い浮かべたのは、かれこれ10年ほど前に、都市経済学をポピュラーの土俵に押し上げ一斉を風靡したリチャード・フロリダ氏だ。最近は近未来予想の著作が目立つ高城剛氏も敬愛していると聞いたことがある。がしかし、僕と同様の連想をし本書を目を留めた方がいたら忠告したいのは、この本はそれとは根本的に毛色が異なるということ。むしろフロリダ氏と同類を挙げるとしたらダニエル・ピンク氏が適役だから。
さて、実はこの本のなかでもフロリダ氏について触れられているくだりがあり、著者のモレッティ氏曰く『ものごとの原因と結果を混同してはならない』(P250)『魅力的な町というだけでは、地域経済を支えられない。結局、必要なのは、雇用を創出することだ』(P254)と名指しで否定。アーティストやクリエイターを惹き付けるクールな都市として知られるベルリンのここ20年を例にとりながら、数ページ割いてフロリダ理論の反証を試みているくらいだ。

では、この一冊はいかなるものか。それは『イノベーション』と『ローカル化』と『経済発展』の相乗効果を徹底して語ってくれている秀作だと僕は感じた。技術革新なくしては常に時代の先端を行く変化を遂げ続けることはできない。止まれば必ず衰退を招くと。そして、アイデアや発明が起きるのは決まって、直接交わす対話からの偶然や、満足な人的資本の獲得による、狭い地域内の触れ合いからなのだと。
また、現在のシリコンバレーがなぜこれほどまでに一人勝ちし、今後もそうそう衰退しそうにないかも、極めて論理的に解説してくれている。そして現在のアメリカがなぜここに至ってもITと先端科学を牽引し、途切れることなく超一流の知性やサービスを生み出し続けられているのかも非常に的確に裏付けてくれている。

『冗長だ』や『薄っぺら』を書評ではよくマイナスのそれとして見かける。それらを向こうに回し、この本のなんと『超簡潔』にして『濃厚』なことか。すべてのビジネス書ファンに、確信を持ってここにお勧めする。0

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