指揮者の知恵 (学研新書) の感想

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参照データ

タイトル指揮者の知恵 (学研新書)
発売日販売日未定
製作者藤野栄介
販売元学習研究社
JANコード9784054047013
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究

購入者の感想

筆者の藤野栄介氏は、1989年桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業、同研究科修了し(コントラバス奏者)、1994年に国立サンクトペテルブルク音楽院にて指揮を学びました。現在、エルミタージュ音楽財団エグゼクティブディレクター、ノーザン・フラワーズ国際室内音楽祭ゼネラルディレクターを務めている方です。オーケストラのスケジュール管理やリハーサル風景の描写は関心を持って読みました。クライバーが自分の指示したパート譜の書き込みを演奏会終了後、消していたという話は面白いものです。楽譜の書き込みは専売特許ですから。

ロシアでの音楽経験が長いこともあり、167ページに「現代のカリスマ、ワレリー・ゲルギエフ」の項目は、ゲルギエフの頑張りや功績が理解できると同時に、偉大な指揮者の魅力が伝わるエピソードでした。93ページにもN響を指揮した時のゲルギエフの素晴らしさが語られていました。
本書を読みながら、指揮者は音楽プロデューサーだという一面を捉えました。
そして「何があっても動じないことだ。」というロジェストヴェンスキーの答えは深いものです。

本書の内容の一部です。指揮者とオーケストラの基礎知識(クラシック音楽の面白さとは?、コンサートとCD録音 ほか) リハーサルで、指揮者がすべきこと(指揮者を迎える「厳しい目」、指揮者は、オーケストラの音を聴いてはいけない ほか) オーケストラを、「一つの生き物」にするために(オーケストラは、霊的集団!?、オーケストラと指揮者がつながるとき ほか) 指揮者のカリスマ性(カリスマとは「迷わないこと」、休符に音符を感じる指揮者 ほか) コンサートが始まり、指揮者は「瞬間」に生きる(「妥協はするなしかし柔らかくあれ」、心配や罪悪感を捨て「今、このとき」をコントロールする ほか)

 著者は1960年代後半のお生まれでしょうか。文章からもそのような印象を受けました。良くも悪くも軽い感じ。読みやすい本には仕上がっています。
 「リーダーの資質と条件」という帯の文句がいかにもわざとらしいなあ。音楽書に仮託してリーダー論を書いてほしいという出版サイドからの要望でしょうか。1つの社会(組織)の例として楽団を扱っているということです。ですから、ここでの「指揮者」は必ずしも「楽団指揮者」に限定しないということなのでしょう。
 では、ビジネス書として、対象はどこに置いているのでしょう。―現代ではあらゆる場面で人間関係をいかにするかということが鍵になっていますから、「ビジネス書」という括りそのものも不適当なのですが、とりあえず。―読んだ感じでは高校生か大学生くらいの若い年代の、「ちょとクラシック・ファン」向けかと思いました。クササも同居していますが、所々で結構イイコトも言っています。でも、「この人の言うところをきいてみたい」という肝心の誘う魅力に乏しいのですね。ちょっと損をしています。0

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