反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書) の感想
参照データ
タイトル | 反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 森本 あんり |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784106037641 |
カテゴリ | 人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門 |
購入者の感想
「ピューリタニズムの極端な知性主義」に対する「ラディカルな平等主義の反知性主義」、この二分法によるアメリカ史の記述は冒頭から明解である。副題の「アメリカが生んだ<熱病>の正体」は出版社が提案したものと著者があとがきで書いているが、これはやはり「的外れ」。帯の「いま世界でもっとも危険なイデオロギーの根源」は更にひどい誤解を招く。著者はアメリカの反知性主義を危険とは言っていないし、リバイバル運動の「熱心」への警戒について記す程度。むしろリバイバル集会で「テントの中の同じ簡素なベンチに、大銀行の頭取とすすけた炭坑夫とは隣合わせになで座る」ことが「アメリカ人を芯からしびれせる」と書き、反知性主義に「肯定的で正当な要素」を見る。アメリカの政教分離が神学のプログラムであるとの指摘も納得である。註は多くはないが、参考文献の指示は有益である。