アンチ・オイディプス(下)資本主義と分裂症 (河出文庫) の感想

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参照データ

タイトルアンチ・オイディプス(下)資本主義と分裂症 (河出文庫)
発売日販売日未定
製作者ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ
販売元河出書房新社
JANコード9784309462813
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学

購入者の感想

下の方に酷評が載っているが、言い過ぎだと思う。市倉訳のほうに、原著にはあったとさ
れるリズム感が欠けていたことは、ずっと前から指摘されてきた。その点宇野訳は、この
大著を、あたかも「一つの文学作品」として読み通せるようにしたという意味では、良訳
の部類に入ると思う。文章も「機械翻訳」という評言がどこから出てくるのかまったく不
明なほど、ひとつひとつの文も、段落ごとの内容も、日本語として十分意味が通っており、
解釈を加えずにここまで訳せるものではない。

「そっくり一文が抜け落ちている」のが事実だとしても一般の私たちには確認のしようも
ないのだが、反復文が極めて多いこの本では、通読して大意をつかむという読み方をした
場合、仮にそういう事実があったとしても、本の言わんとする方向が変わってしまうほど
重大な問題になるとは考えにくい。

今、文学作品としてはとか、大意をつかむという読み方ならと書いたけれど、まさにこの
本の良いところは、あの大著を、概要としては何を伝えようとしているか、とりあえず通
読してみる気にさせるところであり、そういう読み方をするなら、十分役に立つ。文庫本
というハンディな作りなので、少しずつ読めば、必ず最後まで読み通せるし、とにかく著
者たちが何に反対し、何を擁護し、どのような世界観を提示しようとしているのかという
軸の部分は十分つかめるはずだ。(ただし、上巻の注が下巻にある点は不便きわまりなく、
出版社に猛省を促したい)

この本は、長年、通読もされずに適当な引用をされたり、批判されたりしてきた歴史があ
る。宇野訳で、とりあえずその点が解消されたのは喜ばしい。術語については、哲学的に
厳密を期したい専門家や、どうしても納得のいかない箇所があった場合は、原著を読むか
市倉訳を必要に応じて参照すればよいと思う。この本の最大の功績は、とにかく「あの
『アンチ・オイディプス』が手軽に通読でき、概要がつかめるようになった」という点に
あるのだから。

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河出書房新社から発売されたジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリのアンチ・オイディプス(下)資本主義と分裂症 (河出文庫)(JAN:9784309462813)の感想と評価
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