葡萄 (完全生産限定盤B) の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

サザンオールスターズのアルバムについては、もはや1枚1枚が
どうだこうだ言う意味が無い価値がある。
自分はサザン、桑田佳祐、佐野元春、ASKA（CA）に関しては
とにかく購入（笑）派だが、理由は簡単で、ハズレなど考えられない
からだ。

ジャケットもサザンらしいし、近年の発売ペースで言うと半分くらい
ベスト盤、というくらいの口覚えがある楽曲だし、まあとにかく
文句なしです。星は５つです。　

サザンは好きでしたし、活動再開やニューアルバムも心から楽しみにしていまいした・・・・が
活動再開後の活動状態になんだかイマイチ疑問を感じつつ、消化不良状態のままニューアルバムの発売に至りました。
そんなことなので予約もせず、買うか買わぬか迷ったまま時が過ぎ、気が付けば限定ＡＢとも品切れ状態に。
通常版を買うのもなんだか悔しい気がしてたとき、定価販売のＢを発見！
即座にカートへ放り込み、勢いで購入したというのが実情でした。
翌々日には自宅に届き、そっそく開封しプレーヤーにセット。期待を超える心地よい70分超を過ごすこととなりました。
シングルとして大ヒットしそうな曲があるわけではないのですが、全体的にメッセージ性に富んだ円熟味を感じる、味わい深い楽曲がちりばめられています。
まさに大衆音楽、これぞ大衆音楽、大衆音楽の粋という言葉がしっくりきて身にしみます。
自らをアーティストと呼び、自らの音楽をロックと称すような詐称やかたりが横行する日本の音楽業界において、肩の力を抜き自らの音楽を大衆音楽と称し、
その道を極めようとしながら、極めて全うな方向性を見出したこのバンドは本当にすばらしいバンドだとしみじみ感じました。
傑作だと思います。やってくれましたねサザンオールスターズ！

誤解を承知で言うと、たち位置はボブディランの「ブロンドオンブロンド」美しさはポールマッカートニー＆ウィングスの「ヴィーナスアンドマーズ」

ここには湘南サウンドはない。若いカップルの恋物語もない。キラキラした浮かれたメロディもない。何より、桑田独特の曲づくりの手癖も極力排除されている。

そんな裸一貫状態で、一から自分たちを見直し、世の中を俯瞰し、新たなミュージシャンやスタッフたちを迎えてエゴを主張せず、力を認めて完全裏方に回った桑田。

結果、みずみずしいメロディやビートがひしめく美しいロックアルバムが産まれました。
腹の底から声を出すバラード、「道」。いつかミュージックステー〇ョンででも歌って、若手や観客の度肝を抜いてほしい。

メッセージ性の強い反逆の詞で売り出したアーティストはいつかは変化を求められる。ラブラブな詞もそうだ。サザンは聴いてる人と共にその時代を歌う。自分の成長に見合ったラブソングを書く。常に身の丈で書く。だから、嘘がない。共感がハンパない。だからついていく。
「はっぴいえんど」「平和の鐘が鳴る」「バラ色の人生」もそうだ。

時事ものは避けて通るのが賢明？批判が恐いから？でも一番の関心事で他人事にできないでしょ？「ピースとハイライト」「Missing Persons」「東京VICTORY」はどうだ。

しかしそんな中にも大衆に受けるポップスは忘れない。あくまで売れたいという欲求も満たそうとする貪欲さ(笑) 媚びるのではなく、必殺バラードも封印して、リアルな自分たちを見せる中で。

第3期と思われるサザンのスタート。昔に未練は微塵もなく、清々しく、嫌われてもいい覚悟で今に挑んでいく。ここまで来たら、とことんついていきますよ。