特捜部Q―檻の中の女― ハヤカワ・ミステリ文庫 の感想

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タイトル特捜部Q―檻の中の女― ハヤカワ・ミステリ文庫
発売日2012-10-15
製作者ユッシ・エーズラ・オールスン
販売元早川書房
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北欧ミステリーが百花繚乱していますが本作の舞台となるコペンハーゲンの復習から。

デンマークの首都。北ヨーロッパを代表する世界都市である。市名はデンマーク語の"Kj’bmandehavn"(商人たちの港)に由来する。「北欧のパリ」と比喩される。 日本語では「コペンハーゲン」と呼ばれることが多いが、これはドイツ語名をカタカナ表記したものであり、デンマーク語では「ケブンハウン」に近い。(Wikipedia)

政治的なパフォーマンスから、未解決事件の大事件を専門に捜査する「特捜部Q」が立ち上げられます。厄介者の左遷と、国からの破格の予算獲得につられて設置された特捜部は、暗い地下室に設置されます。主人公のカール・マーク警部補は、捜査で犯人からの銃撃を受け、部下ひとりを亡くし、一人は半身不随になってしまいます。強引で皮肉屋であることから上司から煙たがれていましたが、事件を境にカールの反抗的態度が警察内部で浮くようになり手が付けられなくなりつつあるという設定はよく練られているもののさらにインパクトを強めるためにもうひとひねりしてあります。

そのひねりが、カールのアシスタントとして特捜部Qに配属されたイスラム系移民アサドのキャラです。シリアから亡命して移民ですが、デンマーク人から見ると奇人変人、バックグランドも何やら怪しげです。そこで、デンマークでの移民事情が気になります。1999年The European Values Study によるとデンマークは31ヶ国中4番目に外国人嫌いのようです。特にユダヤ人、ムスリムが嫌いだそうで、その背景を知ったうえで本作を読むとアサドが単なる変人以上に異様にみられることが想像されます。重要キャラクターにイスラム系移民を配置することで中東からの移民のバックグラウンドがストーリーにヨーロッパならではの味付けになっています。本作では主人公よりキャラが立っています。このように社会から歓迎されていないムスリム移民と、組織から期待されていない頭の切れるはみ出し者が新事実を明らかにする程、当時のずさんな捜査が明るみに出て、ますます煙たがれるところは皮肉です。

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