戦後の日本経済 (岩波新書) の感想

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タイトル戦後の日本経済 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者橋本 寿朗
販売元岩波書店
JANコード9784004303985
カテゴリ経済学・経済事情 » 各国経済事情 » 日本 » 一般

購入者の感想

 本書は1946年生まれの経済学博士が1995年に刊行した本であり、経済学に関する一定の知識を持った読者に向けて書かれている。本書の特徴は、第一に戦後改革(財閥・商社解体、経営者の公職追放等)を、戦時の計画経済化の歪みを正す日本の経済社会のアメリカ化の試みと見、そこで導入された制度を日本の諸条件により修正する中で、戦後の新たな日本社会が形成されたとすること、したがって戦後復興は単なる復旧ではないとすること(例えば所得分配の平等化)、第二に傾斜生産方式は石炭・鉄鋼業のみならず、電気・海運等にも対象を拡大していたことへの注目、第三に零細農業固定化の点で農地改革を失敗と見なしていること、第四に軽武装国家であること、低賃金若年労働者の豊富さ、海上輸送革命が高度経済成長に寄与したこと、第五に米国の管理技法の改善により、TQC=全階層・全部門参加による品質管理が生み出されたことの意義を強調していること、第六に政府の幅広い産業政策の果たした役割を限定的に見ること(政策の挫折、劣位産業の保護)、第七に排他的系列販売は米国方式の導入であること、第八に長期相対取引による的確な情報交換、企業内競争、企業家型中小企業の開発力といった企業システムの特徴が、経済成長に貢献したことの重視、第九に1970年代初頭の高度成長の終焉以後、国債の累積、企業活動の国際化、金融自由化、減量経営と企業の銀行離れ(誰も日本の大企業を有効に監視できなくなる)・労働者の発言力の低下、疑似パートタイマーの活用によるサービス化、ME革命の活用、内政干渉の許容が見られ、それが現在につながること、第十に豊かさの反面、地域・家庭・教育・発展途上国に日本の経済成長の代償が重くのしかかっていることを、やや月並みだが、今後の課題と考えること、とまとめられようか。0

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