月の虹 の感想
参照データ
タイトル | 月の虹 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 田村 優之 |
販売元 | 日本経済新聞出版社 |
JANコード | 9784532171018 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » た行の著者 |
購入者の感想
この方の小説が好きで、またいつか新作が出るのかな…と思っていたところの新作。発売直後に入手、夜一人でじっくり読んだ。
京都に赴任中の新聞記者が主人公という設定は、前作に引き続き。この方が今も現役の新聞記者だからだろう、非常にリアルな描写や設定が続く。仕事がらみで出会った女子学生は年齢に比べて妙に透明感があり、主人公は彼女に惹かれていくのだが、お互いを思う気持ちとは全く別の事情で二人はすれ違い始める。
悪意があったわけじゃないのに、タイミングが合わなくて、悪い偶然が続いて、時に誰かを傷つけたり裏切ったりしてしまうことがある。相手に悪意がなかったと知っていても、傷ついた心を持て余して相手を責めてしまうことがある。
そんな人間の性と、悲しみと、愚かさを、本作は丹念に語っていると思う。愚かな人間な一人として、誰かを傷つけた時、しかもその誰かはいつか自分を救ってくれた人であった時、自分の罪にどう向かい合えばいいのか考えさせられた。
最後に、もう一言。この物語の始まりは7月の京都だった。前作の「夏の光」を読んだ時も思ったが、夏を描くのがこんなに上手い作家はなかなかいないと思う。
京都に赴任中の新聞記者が主人公という設定は、前作に引き続き。この方が今も現役の新聞記者だからだろう、非常にリアルな描写や設定が続く。仕事がらみで出会った女子学生は年齢に比べて妙に透明感があり、主人公は彼女に惹かれていくのだが、お互いを思う気持ちとは全く別の事情で二人はすれ違い始める。
悪意があったわけじゃないのに、タイミングが合わなくて、悪い偶然が続いて、時に誰かを傷つけたり裏切ったりしてしまうことがある。相手に悪意がなかったと知っていても、傷ついた心を持て余して相手を責めてしまうことがある。
そんな人間の性と、悲しみと、愚かさを、本作は丹念に語っていると思う。愚かな人間な一人として、誰かを傷つけた時、しかもその誰かはいつか自分を救ってくれた人であった時、自分の罪にどう向かい合えばいいのか考えさせられた。
最後に、もう一言。この物語の始まりは7月の京都だった。前作の「夏の光」を読んだ時も思ったが、夏を描くのがこんなに上手い作家はなかなかいないと思う。