ひらいて (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルひらいて (新潮文庫)
発売日2015-01-28
製作者綿矢 りさ
販売元新潮社
JANコード9784101266510
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » や・ら・わ行の著者

購入者の感想

芥川賞受賞時の騒ぎなどもう知らない若い世代の人に、「綿矢りさ」を紹介すると、ネットで検索するらしく、直ぐ「とても綺麗な作家さんですね」という答えが返ってくる。この人の容姿の卓越ぶりは、10年近く経った今でも、他と隔絶しているようだ。

さて本作であるが、文化祭前の高校の甘酸っぱい空気なんか、相変わらず良く書けているなと思っていたら、「美」に関する哲学的な考察が出てきたりして、偉く真面目な訴えを盛り込んだ作品だなと思っていたら、近づいていった片思いの男子の相手の女子が自分の言葉を勘違いしたの逆手にとって、なんとレズに突入。このあたりのセックス・シーンの描写など、綿矢流の精細さで、エロ小説は今まで結構読んできたけど、このような描写はあまり経験ありません。奇想天外というか抱腹絶倒というか。前作の「かわいそうだね?」あたりから、綿矢さんの個性がのびのびと発揮されてきているように思います。プロに見いだされた若い才能が成長していくとはこういうもんなんだ、ということが同時代的に体験できます。

しかし、ラストの暴走ぶりはどうなんでしょう?処女作「インストール」に自分の部屋のものを全部ガレージにぶちまけるシーンがありましたが、本作でもそれと似たような印象があります。このような破壊衝動のようなものを、この作家さんは常に感じてられるのでしょうか?そういったことを描くことが、綿矢文学の通奏低音なのでしょうか?

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