エレンディラ (ちくま文庫) の感想

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参照データ

タイトルエレンディラ (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者ガブリエル ガルシア=マルケス
販売元筑摩書房
JANコード9784480022776
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » スペイン文学

購入者の感想

"この世の者のいかなる声にも彼女を引き止める力はなかった。彼女は後ろを振り向かずに、熱気の立ちのぼる塩湖や滑石の火口、眠っているような水上の集落などを駆け抜けていった。"「大人のための残酷な童話」として短・中編を収めた本書は、巧みな物語で民衆の記憶を伝えてくれます。‬

個人的には、著者の作品は『予告された殺人の記憶』そして『百年の孤独』を読了済なのですが。その何とも巧みな物語の描き方が好きなこともあることから今回、本書も手にとったのですが。貧しかったり、悲惨な状況に登場人物たちが置かれていても。どこかに幻想的な場面による救いもあらわれたりする(もちろん私が感じるだけですが)ラテンアメリカ文学の何とも【土の匂いがしつも神話的】な感覚に、やっぱり魅力的だな。と再確認させられました。

また表題作の他に印象的だったのは、冒頭の【大きな翼のある、ひどく年取った男】。"これは、天使だよ"と一目見ただけで、地面に倒れた老人を結論づける女性に内心"はやっ!"って突っ込みつつも、どうしようもなく先が気になってしまう始まり方に、ああ、もう著者の術中にはまってしまっているのだろうなあ。。と【悔しくも嬉しかったり】流石です。

『100年の孤独』を未読の方の肩慣らしに、またラテンアメリカ文学の雰囲気を気軽に感じたい誰かにオススメ。

本が好きな人なら、自分の人生に影響を与えてくれたり、悩んでいた時に道を示してくれた作品と出逢った事が少なからずあると思う。自分にとってガルシア・マルケスの作品との出逢いはまさにそれで、その時読んだのがこの作品集『エレンディラ』だった。

マルケスの作風には、大きく分けて2つのタイプがあると思うが、一つは記者時代のキャリアから生まれたスタイルで、実際の事件を基にしたり、あるいはジャーナリスティックな手法で書かれた、『予告された殺人の記録』や『族長の秋』に代表されるような小説。
もうひとつは、マルケスの少年時代に祖母が物語を語ってくれた時の、その独特の話法を小説に取り入れた幻想的な物語、シュールなものが日常の当たり前の出来事のように語られる不思議な文体で、その集大成ともいえるのが『百年の孤独』だが、本短編集はそこに至る試行錯誤の過程で、マルケス・スタイルが限りなく完成形に近づいたものだと思う。
多くの短編集と比べても、全7篇、いずれも奇想・幻想的で豊穣な語り口で突出している。

「大きな翼のある、ひどく年取った男」
とある海辺の村に行き倒れていた、翼のはえた老人を巡って巻き起こる騒動。

「失われた時の海」
海から漂ってくるバラの香りに一喜一憂する人々。主人公が潜った海底でゆらめく、死者たちの世界が幻想的な筆致で描かれる。

「この世でいちばん美しい水死人」
世にも稀なる巨躯にして、みめ麗しき青年の遺体が漂着した村。まずは女衆、ついで男衆もその水死体の美貌に魅せられて・・・。

「愛の彼方の変わることなき死」
死の宣告をされた政治家の、美少女との運命的な出逢い。

「幽霊船の最後の航海」
毎年、村の沖合いにやってくる、その村よりも大きな一隻の幽霊船。その存在を主張する若者の声に、誰も耳を傾けなかったために・・・。

「奇跡の行商人、善人のブラカマン」

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