文化と帝国主義〈2〉 の感想
参照データ
タイトル | 文化と帝国主義〈2〉 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | エドワード・W. サイード |
販売元 | みすず書房 |
JANコード | 9784622032045 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 文学史 |
購入者の感想
現在の世界各地の現実と,世界各地のさまざまな文学とを,行ったり来たり,重ねずらし,しながら,帝国主義を,境界を,民族主義を,本質主義を,さまざまを,糾弾し,その基を探し,読者を啓蒙していく。
政情や事変の具体的な出来事と,小説の読みとが,気ままに交錯する。まさに気ままで,硬い訳文とは逆に,実は,本人的には面白くって仕方なく,うひょひょ笑いながら語ってるところもありそう(だけに,勢いをもって読み進めた)。
しかし,そんなサイードが本書で語るのは,フィクションでも戯言でもなんでもなく,私の目の前の世界だ。
ただ,この文芸から入り,気づけば現実を語っている,その語り口は,戯言と紙一重。私はもう文化がどれほど世界を動かすのかについての実感をもてないほど,お金が動かす世界のイメージに教育されきっている。そんな読者が,どこまでこの語り口を受け付けられるのだろう。かといえ,それを外せばチョムスキー。これまた「陰謀マニア」のレッテルを貼られておしまいなのだろうが。
本書の啓蒙的態度に対して,じゃあどうしろと?,と思うが,サイードは,文芸の中や「コントラプンクトゥスだ!」の中へとするすると去っていく。己で考えい!ちゅうことやろうけど。
時に古典や教育に未来の夢を託すなど,お爺ちゃん的な一面も垣間見つつ,興奮のなか読了した。
政情や事変の具体的な出来事と,小説の読みとが,気ままに交錯する。まさに気ままで,硬い訳文とは逆に,実は,本人的には面白くって仕方なく,うひょひょ笑いながら語ってるところもありそう(だけに,勢いをもって読み進めた)。
しかし,そんなサイードが本書で語るのは,フィクションでも戯言でもなんでもなく,私の目の前の世界だ。
ただ,この文芸から入り,気づけば現実を語っている,その語り口は,戯言と紙一重。私はもう文化がどれほど世界を動かすのかについての実感をもてないほど,お金が動かす世界のイメージに教育されきっている。そんな読者が,どこまでこの語り口を受け付けられるのだろう。かといえ,それを外せばチョムスキー。これまた「陰謀マニア」のレッテルを貼られておしまいなのだろうが。
本書の啓蒙的態度に対して,じゃあどうしろと?,と思うが,サイードは,文芸の中や「コントラプンクトゥスだ!」の中へとするすると去っていく。己で考えい!ちゅうことやろうけど。
時に古典や教育に未来の夢を託すなど,お爺ちゃん的な一面も垣間見つつ,興奮のなか読了した。