中庸 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル中庸 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
販売元講談社
JANコード9784061585959
カテゴリ哲学・思想 » 東洋思想 » 中国 » 経書

購入者の感想

 同じ著者の「大学」と対になった構成の「中庸」全訳注書。やはり朱子による中庸章句が全体の構成に組み込まれていて、書き下し文・原文・字義・通解という順で記述が続き、本文の後には「中庸」講義、編者であるご子息によるあとがき、語句索引となって締めくくられる。やはり字義は充実していて、体と用、経と緯など、普段使う対義の語の深い意味の暗示などは新鮮だった。このあたりの理解というのは自分たちの世代だと総じて弱くなっていると思う。まだらに西洋的な感じ方になっていることを、このような著書を読んでいると痛感する。

 内容についてみてみると、著者も巻頭で言及しているように倫理と政治、という儒教の思想の中でも倫理に主眼を置いた議論が多く、後半は至誠について天道・人道あいまっての示唆がある。倫理と政治、というのが西洋の学問のカテゴリーで言うとどちらも実践の学/術であることが思い浮かんだが、「中庸」の内容もやはり実践躬行の中で始めて意味合いを感受できるものなのだろう。

 一方で、著者が朱子の解釈と対蹠的に伊藤仁斎の説を引き合いに出しているのが気になった。著者は仁斎の説を退けがちで荻生徂徠の説を是とすることが多いように見えたが、仁斎や徂徠の説にも興味が湧いてくる。

 岩波版よりこちらのほうがわかりやすいと思う。 

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