転換期の日本へ 「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か (NHK出版新書) の感想
参照データ
タイトル | 転換期の日本へ 「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か (NHK出版新書) |
発売日 | 2014-05-07 |
製作者 | ジョン・W・ダワー |
販売元 | NHK出版 |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
本書の著者の一人のジョン・W・ダワーは、『敗北を抱きしめて』という作品でピュリツァー賞を受賞した著名なアメリカの歴史学者である。
もう一人の著者のガヴァン・マコーマックは、東アジア現代史、日本近現代史の研究者として京都大学などで客員教授も経験したオーストラリアの歴史学者である。
本書は、日本人以外の歴史学者から俯瞰した日本という国家を細密に開示してくれているから、少々耳が痛い正鵠を射た提言も多く、読み流すことができない書となっている。
本書で特に印象に残ったのは、沖縄の米海兵隊ガム移転の真実を、後にウィキリークスで確認された政府の欺瞞について沖縄大学の新崎盛輝名誉教授が語った言葉である。
「(ウィキリークスの)米外交公電は推論を、生々しく、具体的に裏付けてくれた。そこの露呈されたのは、あまりにも無残な、日本の政界や官界の荒廃である。二言目には『国』を口にし、排外的ナショナリズムを振りかざしながら、アメリカの“国益”’と一体化し、アメリカに奉仕する政治家や官僚の言動である。私たちは、見たくないものを見てしまったのである」(P139)
二人の著者は、「戦後レジームからの脱却」とか「普通の国になる」などと唱えながらも、アメリカに追従する安倍政権の歴史認識などについても手厳しく批判している。
最終章で両氏がメール交換で語ったように「パックス・アメリカ―ナ」から「パックス・アジア」へと進む道は険しく、評者は気が遠くなってしてしまったのです。
NHK出版新書シリーズで、このような書籍が読めるのは今のうちだけかも知れないなぁ、と思いながら本書を興味深く読み終えました。
もう一人の著者のガヴァン・マコーマックは、東アジア現代史、日本近現代史の研究者として京都大学などで客員教授も経験したオーストラリアの歴史学者である。
本書は、日本人以外の歴史学者から俯瞰した日本という国家を細密に開示してくれているから、少々耳が痛い正鵠を射た提言も多く、読み流すことができない書となっている。
本書で特に印象に残ったのは、沖縄の米海兵隊ガム移転の真実を、後にウィキリークスで確認された政府の欺瞞について沖縄大学の新崎盛輝名誉教授が語った言葉である。
「(ウィキリークスの)米外交公電は推論を、生々しく、具体的に裏付けてくれた。そこの露呈されたのは、あまりにも無残な、日本の政界や官界の荒廃である。二言目には『国』を口にし、排外的ナショナリズムを振りかざしながら、アメリカの“国益”’と一体化し、アメリカに奉仕する政治家や官僚の言動である。私たちは、見たくないものを見てしまったのである」(P139)
二人の著者は、「戦後レジームからの脱却」とか「普通の国になる」などと唱えながらも、アメリカに追従する安倍政権の歴史認識などについても手厳しく批判している。
最終章で両氏がメール交換で語ったように「パックス・アメリカ―ナ」から「パックス・アジア」へと進む道は険しく、評者は気が遠くなってしてしまったのです。
NHK出版新書シリーズで、このような書籍が読めるのは今のうちだけかも知れないなぁ、と思いながら本書を興味深く読み終えました。
本書における主張は、孫崎氏の著書にもあるように、尖閣・竹島が「日本固有の」領土であるかどうかは曖昧である、という見地に立っている。日本は敗戦によってこれらの領土を失ったはずだが、サンフランシスコ講和条約に中国は呼ばれなかった故に、中国・韓国との境界線も曖昧なままだと言う。実は北方領土も同じで、なかなかそういう話は日本の論壇に登場しにくい。
著者のお二人は日本はまだアメリカの属国であり(領土問題を曖昧にしておく事で、日本はアメリカに依存するよう仕向けた可能性すらあるという)、尖閣・竹島では先鋭化する日本が、沖縄の一部の無人島が米軍の演習場として自由に使用されている事実には目をつむっている、という。
中韓が国内世論の懐柔策として日本を攻撃材料にしている事は認めるものの、日本の政治家が右傾化しアジアが不穏になる事を著者は憂慮している。
日本人の多くは中韓の日本バッシングを不快に思ってはいるが、実際の戦争になる事は望んではいない。建設的な東アジアの関係を築くためにも多様な観点から歴史を検証する事は重要で、本書のような外からの視点はその一助となろう。0
著者のお二人は日本はまだアメリカの属国であり(領土問題を曖昧にしておく事で、日本はアメリカに依存するよう仕向けた可能性すらあるという)、尖閣・竹島では先鋭化する日本が、沖縄の一部の無人島が米軍の演習場として自由に使用されている事実には目をつむっている、という。
中韓が国内世論の懐柔策として日本を攻撃材料にしている事は認めるものの、日本の政治家が右傾化しアジアが不穏になる事を著者は憂慮している。
日本人の多くは中韓の日本バッシングを不快に思ってはいるが、実際の戦争になる事は望んではいない。建設的な東アジアの関係を築くためにも多様な観点から歴史を検証する事は重要で、本書のような外からの視点はその一助となろう。0