思考する物語―SFの原理・歴史・主題 (Key library) の感想

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参照データ

タイトル思考する物語―SFの原理・歴史・主題 (Key library)
発売日販売日未定
製作者森下 一仁
販売元東京創元社
JANコード9784488015169
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 日本文学研究

購入者の感想

SF作品を語る際、常套句のように用いられる「センス・オブ・ワンダー」という
タームを中心に、SFの本質について、誠実に分析・考察し、平明な語り口で
解きほぐしてくれている好著。

◆SFの起源

 著者は、SFの起源を顕微鏡と望遠鏡の発明、そして電気の発見にあるとしています。

 極微の世界と空の彼方の世界との発見が、人間の世界認識を根本的に変え、
 後に人工知能や電脳空間を構成することになる“見えざる神の力”=電気が
 人の想像力を大いに刺激したのです。

 『星の王子さま』の台詞をひくまでもなく、人間の知覚には限界があります。
 SFは自然科学を核として、人間にとって未知の領域を想像力で素描しよう
 とする営みだといえます。

◆「神話」を希求することの危険性

 著者は、異世界ファンタジーが隆盛し、神話そのものを
 求めているかのような現代人の心性に警鐘を鳴らしています。

 文明が地球全体を覆った現在、現代人は自由な「魔法」が発揮できる
 「どこにもない場所」を見出そうとします。

 その世界は、往々にして恣意的で、心理的な必然性のみに基づくストーリー
 を可能とし、自らの願望のみが如実に反映されたものになりがちです。

 SFとは、そうした個人的な幻想を科学と対置することで、
 せめぎ合わせ、その果てに立ち上がってくる世界の姿を
 見出そうとする営為だと著者は述べています。

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