会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから の感想

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タイトル会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから
発売日販売日未定
製作者大西 康之
販売元日経BP社
JANコード9784822250171
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 実践経営・リーダーシップ » 企業動向

購入者の感想

 日本産業界を牽引し代表していた(現在も他に代わるものはないが)電機産業、そして白物家電では二番手とは言え気を吐いていた三洋。10万人の社員が会社分割・吸収で9,000人に。
 戦略のどこが誤りで、彼らはどうなったか?小生は電機業界ではないがサラリーマンとして身につまされるところがあり、一気に読んでしまった。

 井植氏や会長を務めた野中氏のインタヴューで、必ずしも彼らが悪いわけではないこともわかった。急速なグローバル化、黒物と呼ばれるテレビ、携帯電話への過剰投資の失敗は場を読み切れなかったと言えばそれまでだが、、、野中氏の会長職就任も本人が最初から望んだわけではなく、後には「凄い技術を持った会社にほれ込んだ」から。

 終章近く、アイリスオーヤマや西松屋で第二の人生を送る技術者の話が救いと言えば救いだが、それはごく少数だろう。
 
 「ニッポン株式会社」の運命を暗示するような本かも知れない。

三洋電機解体をめぐる暗闘と裏面史を描いた前半(〜123頁)とちりぢりとなった従業員たちの逞しく生きる姿を活写する後半(125頁〜)と。どの挿話も非常に興味深く(あるいは面白く)、大変読ませる一書でした。働くことの意味についても、改めて大いに考えさせられました。(なお、本評の見出しは、本書2頁及び122頁からの引用です。)

「三洋電機のケースはその前触れに過ぎない。これから我々は「まさかあの会社が」と思うような企業が消えていく様を目の当たりにすることになるだろう」(3頁)。
「資本家不在の日本では、創業家が去った後、誰が企業の所有者なのかよくわからなくなる。大企業の株主は機関投資家と個人投資家だが、経営に対する影響力が低すぎて、社長をすげ替えるような発言権はない。プロスポーツで言えば、そのチーム生え抜きのOBがたらい回しで監督をし、チームの成績が悪くても、彼らの首を切るオーナーがいない状況だ。かくして、生え抜きのサラリーマン社長たちが、結果責任を負うこともなく、まるで企業の所有者のように振る舞う。よほどの不祥事でも起こさない限り、彼らが解任されることはない。監視役のいないサラリーマン社長は、自分の任期をつつがなく過ごすことにかまけ、未来への投資を怠り、問題を先送りする」(35〜6頁)。
「リチウムイオン電池で電気自動車を走らせるというのは、まあ4000人のわがままな女優に集団行動をさせるようなもんですわ」(77頁)。
「私、本気であの会社に惚れちゃったのよ。三洋電機は地球防衛軍になれると思ったの」(94頁、元会長兼CEO 野中ともよの言葉)
「「もう危ない」と頭ではわかっていても、体は「まだ大丈夫」と動かない」(137頁)。
「三洋電機でも、昔は若手がいろいろやれたんですよ。当然、失敗はしますけど、それで覚える部分もあるわけです。今は周りが失敗をさせないように、上司が前もってあれこれと口を挟む。それでは人が育ちません」(305〜6頁)

2011年に上場廃止になった三洋電機の解体の裏事情、
そして会社を去った技術者たちのその後が描かれたノンフィクションです。

読み物として非常によくできており、思わず引き込まれてしまいます。
それだけに、どこまで真実なのか、多少の誇張はあるのか?と疑ってしまうところはありますが・・・

学ぶことはあまりなかったかもしれませんが、おもしろかったので星4つです。

以下、私がこの本を読んで参考になった部分の引用です。

脇の甘い二代目、三代目は、銀行から見れば格好の「お客さん」である。
会社の株を担保に取った上で、あの手この手で融資を増やし、失敗したら株を取り上げ、
会社から追い出せばよい。創業家なき後は、社内で出世競争を勝ち抜いたサラリーマンが社長になる。
外部から経営のプロが来ることはめったにない。

「あの広告、半分はうちの社員向けなんです。三洋電機がなくなり、
パナソニックも離れて、ハイアールに来てくれた彼らへのメッセージです。
『見てみい、おとうちゃんの会社はこんなちゃんとした会社なんや』
と家族に胸を張ってほしかった」

佐野は珍しく開発の現場に顔を見せてはこう言った。
「食パン1斤は200円で買えるんや。コメでパンを焼くために4万9800円も出す客はそんなにおらん。
これは数を売る商品と違う。三洋電機からのメッセージや。伝説になる商品にせい」0

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