瓜南直子作品集 兎神国物語 の感想

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参照データ

タイトル瓜南直子作品集 兎神国物語
発売日販売日未定
製作者瓜南直子
販売元青幻舎
JANコード9784861524462
カテゴリジャンル別 » アート・建築・デザイン » 作品集 » 画集

購入者の感想

瓜南直子は鎌倉に拠点を置いて活動した日本画家。
2012年6月4日に亡くなっている。

本書は作品集として初めてのものとなる。
2014年の三回忌に合わせて出版の運びとなった。

サブタイトルにある兎神国とは、
彼女が「発見した」とでも言うべき陰の世界。
月、丸みを帯びた中性的な人物、けものたち。
自らのルーツを特定の地方ではなく日本というものに求めた画家は、
神話の世界のような、あるいは平安の絵巻のような絵を描き続けた。

自分で作り上げたものとは言わずに、そこにある物語を「発掘して」絵に表現する。
それらの作品を見せられるうちに、自分にも兎神国の姿が見えてくるようである。

初期には形がはっきりしていなかったその世界も、
90年代の半ばにはその姿が明確になってきている。
やはり表現するべきことはその内側に確立されていて、
それを掘り起こす作業だったのだろうと見て取れる。
これは作品集の良いところだ。

そして実際に現物を見たときに感じたあのマチエールを
印刷で再現するのは難しかったようであるが、
それは今後、機会があれば展覧会で確かめられたい。

瓜南直子は兎神国の姿を紹介する道半ばで力尽きたが、
私達は残された作品からその世界を垣間見ることはできる。

同時に出版された遺稿集絵画を生きて――月の消息とともに、
唯一無二といえる画家を知るよい機会となることだろう。

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