般若心経講話 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル般若心経講話 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者鎌田 茂雄
販売元講談社
JANコード9784061587564
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

 般若心経は二百六十二文字からなっている短いお経であることは夙に知られているところで、解釈は現在多くの人がされており、著書も豊富にそろっている。それなりに解釈は自由にできるかと思うけれども、鎌田氏は仏教研究者であるから、文献を通じての解説がやはり説得力に溢れており、本書の魅力になっている。ただたんに解釈を施しているだけでなく、大乗仏教の入門書と言ってもいいくらい内容が充実している。

 取り上げられているのは、たとえば空海、白隠、清沢満之、盤珪、スエーデンボルグ、鈴木大拙、龍樹、明恵、綱島梁川、沢庵、道元そのほか多くの禅匠ら。短いお経ながらそこに詰め込まれた思想は深甚なのだ。

 だからといって難解ではなく、解説は至って平明である。印象に残ったのは、霊性界(死後の世界ではない)と現実界(現象界)とは別なところにあるわけではなく、同じところにあって、それに気づくことができるかどうかが大切ということ。あるいは煩悩にまみれ、我執に繋縛されているわれわれには外魔のほか内魔があって、特に心から生じる内魔を消し去り防いでくれるのが、このお経であること。

 こころとは掃き溜めなのだ。つねに汚いゴミが溜まっていくところなのだ。だからつねに一掃する必要がある。こころをきれいにすれば何も憑りつくものはなく、また邪なことを起こすこともない。このお経をこころに念ずれば菩薩はすぐ現れるだろう、そう著者は心底から語っている。

 引用された様々な文献も興味をそそられて、また読んでみたくなる。同氏の『観音経講話』も併せて読むとよりいっそう理解が進むだろう。

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