チャイナ・ジャッジ の感想

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タイトルチャイナ・ジャッジ
発売日2013-08-01
製作者遠藤 誉
販売元朝日新聞出版
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購入者の感想

オリジナルは2012年9月7日リリース。電子書籍化は2013年8月。著者の遠藤 誉氏(1941年)は、中国長春出身の物理学者である。学者として、中国国務院西部開発弁公室人材開発法規組人材開発顧問、内閣府総合科学技術会議専門委員、中国社会科学院社会学研究所研究員、上海交通大学客員教授を歴任し、その間に得た知識がこの本を組成している。

取り上げられているのは、『薄煕来』であるのだが、その父・薄一波、妻・谷開来、そして子・瓜瓜を核とした複雑に入り組み、何十年ものスパンで描かれた壮大な悪の全容はまるで島田荘司のミステリーのようですらある。正確かつ、物理学者らしい論理的な洞察力は圧巻で、不自然な事象から、謎を次々と解いていく素晴らしさに、読むスピードを止められなかった。

詳細は未読の方の楽しみのために触れないが、ぼくは、富坂 聰氏の『習近平と中国の終焉』のレビューの中で、『薄熙来や汪洋をリーダーとして選ばなかった中国は『終焉』するだろう』と書いたのだが、それは間違っていたようだ。2012年11月8日、予定より1ヶ月遅れて開かれた『十八大』での習近平選出のバック・グランドにある言葉は『低調』だ。つまり日本でいう、堅実、そして『上司にさえ評価されれば外の評判などどうでも良い』という考え方を意味する、と書いたのだが、この本を読むと、習近平の父から始まるもっと長いストーリーがあるのがわかった。

そして最終章に書かれているように、

中国官僚の不正蓄財→その子どもたちの留学先(正しくは留学を利用したマネー・ロンダリング)の構図が、世界のマネーに大きな流れを作っている。

何しろこの本の主人公、薄煕来だけでも5,000億ともいわれる不正蓄財があるのだ。全ての中国官僚の不正蓄財の合計がいくらになるのか予想すらできない。

一方で極貧層だけでも1億人以上いる今の中国がこの矛盾を抱えたままで済むとはぼくには到底思えない。この本は驚くべき中国の実像を余すことなく描いた傑作だと思う。

日本でこれ以上中国共産党に精通している人はいないでしょう。
数奇な運命を辿った遠藤さんの、確かな経験に裏付けされた
骨太でかつユーモラスな読み応え満点の1冊。
よくぞここまでの情報を集めて本にしてくれたと思います。
世間には評論ぶった輩の、いかにも知ったかぶりのシロモノが出回っていますが
前作『チャイナ・ナイン』並びにこの『チャイナ・ジャッジ』を読めば
今回の話題の中心である薄煕来を取り巻く事件のみならず
毛沢東から現在の中国共産党、そして中国の真の姿が見えてきます。
歴史的事実を知ると同時に、ノンフィクションのサスペンスとしても大いに楽しめました。
切っても切れない繋がりを持ちながら互いに大きな誤解を抱き合っている日中。
領土問題が泥沼化しているこんなときこそ
きちんと相手を知ることが大切なのではないでしょうか。

遠藤さんの著作は内容もさることながら、山崎豊子にパクられるほど面白いので
この厚さなのにあっという間に読めてしまいました。0

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