ショパン (作曲家・人と作品シリーズ) の感想

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参照データ

タイトルショパン (作曲家・人と作品シリーズ)
発売日販売日未定
製作者小坂 裕子
販売元音楽之友社
JANコード9784276221789
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

「あなたはピアノだけを演奏していたのではない。人の魂を演奏していた」(ド・キュスティーヌ侯爵)

フレデリック・ショパンについて書かれた本。著者は東京芸大卒でショパンについての著作を多く出版している日本の第一人者。ショパンの人物像を、周囲の様々な人々との関係や生涯の足取りから鮮明に描き出している。手際のよいまとめ方で、読みやすい。

ピアノと声楽の上手な母と文学に造詣の深い父親の家庭に育つ。絵画の才能もあった。教育を担当したワルシャワ高等音楽学校のユゼフ・エルスネルは、助言はするが、ショパンらしさを壊さないように気を配る。

ウィーンで味わった肩身の狭さ。パリで得た名声。ポーランドへの想い。母国を追われた人々との交流。ショパンに熱中するシューマン。リストやベルリオーズとの関係。有名なショパンの肖像画を残したドラクロワとの交友。ピアノへのこだわり。健康問題によって生じた婚約者との破局。ジョルジュ・サンドとの出会い。マヨルカ島。ノアンの館。サンドとの決別。イギリスでの戸惑い。そして、再びフランスへ。経済的な困窮と援助。実にいろいろな人たちが、この類まれな才能を育み支えていたことがわかる。

常に細心の注意をはらって洗練された服装を身につけ、部屋に花を飾る。最高の先生としてピアノ教師としても卓越した評判を得ていた。演奏するときの音量は小さめで繊細。そして、愛、友情、女性たちからの支持にショパンはいつも囲まれていた。葬儀の際には、マドレーヌ寺院にパリの著名人のほとんどがつめかけたという。

後半には、充実した内容の作品解説と年表が付いている。例えば、有名な練習曲第3番の「別れの曲」は、最初はヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ(急速に、しかしあまり極端ではなく)だったのが、出版時にレント(ゆっくり)に変更されたという話や、ピアノ曲に比べて日本での認知度はそれほど高くない声楽曲についても紹介している。

ショパンの美しい音楽の秘密を知りたく手にしました。
ポーランドの田舎町が生んだピアノの詩人ショパンの、
多くの人と出会い才能を開花させ成長していく前半生と、
不安定な時代と病いに翻弄され、孤独と不安にさいなまれつつ逝く後半生が綴られています。
ショパンの優しい人柄と繊細すぎる感受性が故に苦しむ姿が迫ってきますが、
何時も陰に日向にたくさんの愛と友情に囲まれていたことも知って救われた気持ちになります。
彼の人生の結晶とも言うべき作品達をこれからもずっと味わっていきたいと思います。

巻末に作品の解説や年表があるのも参考になります。
また、本書の後「ショパン紀行 あの日ショパンが見た風景」を読むと良いかもしれません。

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