ホモ・ルーデンス (中公文庫) の感想

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参照データ

タイトルホモ・ルーデンス (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者ホイジンガ
販売元中央公論新社
JANコード9784122000254
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

 “私の心のなかでは、人間文化は遊びのなかにおいて、遊びとして発生し、展開してきたのだ、という確信がしだいに強まる一方であった。(P12)”という著者。本書は「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」と題された。

 ホイジンガは“スポーツは遊びの領域から去ってゆく(P399)”とし、“現代社会生活のなかではスポーツは本来の文化過程のかたわらに、それから逸れたところに位置を占めてしまった。スポーツは完全に泰献性なきものと化し何か実りを生む共同社会の一因子というより、むしろただ闘技的本能だけの、孤立的な表れなのだ。(P399〜P400)”なのだと言う。

 ちなみに、『スポーツにおいては、身を鍛えることによって過去におけるすべての成績をはるかに上まわる成績があがっているという事実はたえず報告されているし、だれでも知っている。その一つ一つに感心したり、達成された記録に注目するだけでは不十分であって、その頻繁さがわれわれの気持ちに与える印象に注目しなければならない』と言ったのが、オルテガである。

 そしてホイジンガは、たやすく満足は得られても、けっしてそれで飽和してしまうことのない、つまらぬ気晴らしを求めたがる欲望。粗野なセンセーションの追求。巨大な見せ物に対する喜び。こうしたものを“小児病(P414)”と名づけた。

 そして“小児病に対しては遊びの形式としての性質を認める事ことを拒否しなければならないと思う(P417)”とホイジンガは言う。

 つまり、遊びが消えゆく事もしくは小児病という現象に対し、言わば警告をしたとでもいうのがホイジンガであり、本書だという事である。

 その示唆は、今の時代になっても薄らいではいないであろう。

文化及びその他人間活動における遊びの重要性を論証した歴史的名著。

遊びの特徴としては
・何らかの目的のための活動ではなく、その行動自体が目的である
・ルールを互いに守る
・相手を尊重する
・競争的である
などが挙げられている。

そうした特徴を軸に、さまざまな文化活動を分析する。
読み物としても面白い。

そして、現代のスポーツ、ゲーム、戦争などにおいて遊びの要素がなくなる小児病に陥っていると警告を慣らす。
プロスポーツ、トランプ、殲滅戦などは、遊びが残っていた昔には考えられないことなのだ。

最後に目次を付しておく

文化現象としての遊びの本質と意味
遊び概念の発想とその言語表現
文化創造の機能としての遊びと競技
遊びと法律
遊びと戦争
遊びと知識
遊びと詩
詩的形成の機能
哲学の遊びの形式
芸術の遊びの形式
「遊ビノ相ノモトニ」見た文化と時代の変遷
現代文化における遊びの要素0

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