原発を終わらせる (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトル原発を終わらせる (岩波新書)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784004313151
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題

購入者の感想

本書は14本の小論文集。福島第一原発の現状(3本)、原発の技術的問題点(4本)、原発の社会的問題点(3本)、脱原発の経済・エネルギー戦略(4本)という4部構成です。

商品説明に「原発を終わらせるための現実的かつ具体的な提案 」とありますが、取り立てて奇抜な発想はありませんでした(分散型社会、ドイツのエネルギー政策、住民自治力の向上などに触れています)。決定的な処方箋が記してある、というより、共有しておくべき大事な視点がまとめてある、という印象です。

本書の最大の魅力は、原子力工学の専門家、技術者、社会学者、地方財政論の専門家など、様々な立場の意見を一度に読める、という点だと思います。

特に参考になった4人の主張を簡単にレビューして、内容説明に代えたいと思います。

1つ目は、バブコック日立で圧力容器の設計に携わった田中三彦氏の「原発で何が起きたのか」。東電が発表したデータを詳細に分析し、1号機の耐震脆弱性を指摘しています。「津波の前に危機が生じていた。」という問題は、さほど注目を浴びていない様に思えます。しかし、これが事実であれば、「津波対策をすれば原発は安全になる」という想定が、根本から崩れます。今まで原子炉水位や格納容器圧力をみても、なにがどうなっているのかさっぱり分からなかったので、これは目から鱗でした。

2つ目は、東大名誉教授で、金属材料学が専門の井野博満氏の「原発は先が見えない技術」。玄海原発で問題になっている「圧力容器の照射脆化」と、高レベル廃棄物の地層処分にとって重要な「オーバーパックの耐食性」についての、専門家の意見が読めます。こちらも大手メディア(すくなくとも日経新聞では)で殆どスルーされている、重要な指摘です。読んで損は無いと思います。

3つ目は、本書の編者であり、地震テクトニクスが専門の石橋克彦氏の「地震列島の原発」。原発の耐震基準の変遷を追いながら、その問題点を指摘しています。耐震方針の経緯や地震の施設に対する負荷について殆ど知らなかったので、さっとおさらいができて助かりました。

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