生きていく民俗 ---生業の推移 (河出文庫) の感想

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タイトル生きていく民俗 ---生業の推移 (河出文庫)
発売日販売日未定
製作者宮本 常一
販売元河出書房新社
JANコード9784309411637
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

序 現代の職業観(きらわれる農業;女の本音;労働者意識;新旧の職業;肩書)
第1章 くらしのたて方(自給社会;交易社会;職業貴賤観の芽生え;海に生きる;山に生きる;旅のにない手)
第2章 職業の起り(村の職業;流浪の民;振売と流し職;身売から出稼へ)
第3章 都会と職業(手職;市と店;職業訓練;古風と新風;町に集る人々)

宮本は大阪府下で農業指導員をしながらの聞書きの時期が長いので農民に関しての記述は深い
米作可能であればよいが、そうでない場合アワやヒエ、ソバを栽培したり
荒れた山間地では焼き畑をして周作していくしかない。現代は一部を除いて、食べることが生活の全てではなくなってきているが、かつては、食べることが生きることのすべてであった

アワやヒエさえも作れなければ、マタギのように山間地を移動して野獣の肉や毛皮を採取するかあるいは木地師のように木製食器や鍬の柄を作り物々交換で食物を得るしかない
木地師も木材を求めて移動生活を余儀なくされる山の生活である

海の生活では、海塩を交易品とすることも多く、その対価として薪と交換することもあったという
テグスの活用からより漁業は安定し、魚介類の行商や物々交換で必要なものを手に入れる
漁業の歴史はこの本では多くを語られていないが、「日本の村・海をひらいた人々(ちくま文庫) 」に詳しい

中国地方や陸奥に製鉄が起こると、そのクズ金を牛を使って関東へ運び、運搬用の牛も売り払って空身で家に帰ったという。牛は草さえあれば山路でも野宿することが可能であり、野宿しながら遠出し関東に来ることもまれでなかったために関東には東北起源の牛が多かったという
馬も同様に運搬に使用されたが小型馬で道中、餌もないと泊れないために旅籠(はたご)が、うまれたという。旅籠の「籠」は馬の飼料用の籠のことである。都で牛車が主たる車引きであったのも小型馬であったせいであろう

一連の宮本氏の連作であるが、商業や流通の歴史はなかなか理解しにくいものである。
この一冊がそこのところを埋めてくれた。

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