村上ラヂオ2: おおきなかぶ、むずかしいアボカド (新潮文庫) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル村上ラヂオ2: おおきなかぶ、むずかしいアボカド (新潮文庫)
発売日2013-11-28
製作者村上 春樹
販売元新潮社
JANコード9784101001654
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » ま行の著者

購入者の感想

村上さんのエッセーは、本当に見事でどこから読んでも楽しい。小説、翻訳もあるけれども、どれを取っても楽しいのは、このエッセーではないだろうか。

この2では、やや辛口のエッセーが目立つ。一つが、「オリンピックはつまらない?」に取り上げたマスコミのオリンピックに対する姿勢である。村上さんの言うように、日本のマスコミは、言うまでもなく興味もあるし大切なことだけれど、日本の選手がいくつメダルを取ったか、と言うことばかり報道するきらいがある。どこの国でも自国の選手がどれだけ活躍したか、注目しているけれども、その傾向が余りにも強すぎないだろうか。今回のリオ・デジャネイロ五輪でも、女子5,000メートル予選で、米国とニュー・ジーランド(NZ)の選手が接触してNZの選手が倒れてしまったが、米国の選手がこのNZの選手を励まして共に走り切って、もちろん予選のタイムは決勝に進むことができない水準であったにもかかわらず、主催者側は”Olympic Spirit”に相応しいとして、2人とも決勝に進むことができたというニュースがあった。残念ながら日本では、ほとんど報道されなかった。

プロ野球にも、村上さんは手厳しい。気にはなるとは言っているけれども、日本の野球に対して、やはり批判的だ。褒められているのは、日本ではなく、違法薬物に手を出して出場機会を逸して批判も多いけれども、米国のA・ロッドである。日本のプロ野球の退行ぶりには、呆れているのかも知れない。

そして日本の新聞に対しても、全国統一の新聞休刊日なんて、談合と一緒じゃないか、とバッサリと切り捨てる。この新聞休刊日を設けたことによって、新聞がなくても余り困らないことに、人々は気づく。本当に新聞を読む人は、電車などに乗ればすぐ分かることだが、減っていることが明らかだ。他の先進国に比べて、日本はまだ新聞の普及率が高いようだが、他国ではあまり目にしないスポーツ新聞のせいかもしれないし、まだ紙の新聞が日本では尊ばれているからかもしれないが、この先はどうなるのだろう。

なかなか痛烈な批判の多い、村上さんにしては珍しいけれども、とても興味深い「村上ラジオ」でした。

村上春樹の小説が苦手な人にこそ読んでもらいたい。そんなエッセイ集です。

まず、くせがない。するする読めます。(前作はちょっぴりくせがありました)

次に、嫌みがない。
よくこういったエッセイなんかは、作家が「どうだ、俺(私)の目のつけどころは面白いだろ? 素人のオメェらたちには真似できないだろ?」………と言っているとしか思えないものがあります(よね?)。
このエッセイからはそんなもの感じられませんでした。
ありのまま。村上春樹もふつうのオヤジなんだなぁ、と思わされます。まあ、アンチ村上の人は、それを逆に嫌みだというのでしょうが。

最後に、教訓がない。これこそエッセイの醍醐味です。

村上春樹大好き!・村上春樹読んだことない・村上春樹なんて嫌い・とにかくヒマ
     上記いずれかに該当する人は、ぜひ読んでみてください。

教訓はない。でも、なんか元気になる。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

村上ラヂオ2: おおきなかぶ、むずかしいアボカド (新潮文庫)

アマゾンで購入する
新潮社から発売された村上 春樹の村上ラヂオ2: おおきなかぶ、むずかしいアボカド (新潮文庫)(JAN:9784101001654)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.