先生はえらい (ちくまプリマー新書) の感想

著者のいう”「先生」は定義上えらい”ということの意味は、
全ての先生（教師）のことをえらいと思えとか、自分以外の人は全て先生であるということではなくて、
”自分の知らないことを知っているに違いない”と思わせる人との、
いわば誤解を含んだ関係性に自らコミットすることの中で「学び」は生まれ、
弟子は勝手に学んでいくのだということのようです。
ここから、先生が知っている以上のことも弟子は学ぶことができるということになります。

著者の他の著作でも述べられていますが、
教育とは学習者にとって学んだ後でしか価値の分からないようなことを伝えることこそ大切であり、
教育内容を学習者に取捨選択させるいわば「消費」としての教育には根本的な問題があることを、
本書はまた違った角度から分かりやすく述べたものといえるでしょう。