マインド―心の哲学 の感想

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参照データ

タイトルマインド―心の哲学
発売日販売日未定
製作者ジョン・R. サール
販売元朝日出版社
JANコード9784255003252
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門

購入者の感想

著者サールは、心の哲学という分野を牽引してきた主要な哲学者。第一線の人による入門書。学問分野の状況を単にまとめたものではない。サール自身の主張もふんだんに含まれる。それ自体が哲学書であるような、哲学入門書だ。筆致も非常に簡潔ながら、しっかりと確実に書いてある。信頼の置ける、素晴らしい本だ。

議論はまず、心の哲学の一般的なトピックを列挙することから始まる。そして、典型的な対応としてデカルトの回答が挙げられる。ここでのデカルトは、教科書的なデカルトである。分析哲学にはよくあることだが、その歴史的正否は気にしない方がよいだろう(例えば、デカルトは意識の内容の確実性について、意識の存在の確実性と同様に語っただろうか。狂気の想定は何を意味するのか。)

ついで、現在の議論状況を形作った様々な考えについて語られる。唯物論と二元論を中心に、行動主義、機能主義、消去主義など。ここの記述はとてもよくまとまっていると思った。ただし、消去主義の扱いに対してはやや簡単すぎる印象を受けた。機能主義については、当時の熱狂が伝えられる。当事者であったサールならでは、である。

それに続き、唯物論の批判とサール自身の見解を述べていく。ここは本書の最大の論点である。唯物論に対し、サールはそれがクオリアを一人称的に説明できないと批判する。そして、心的/物理的という二元論を廃す。物理的世界に一人称的存在論を組み込んで拡張するのである。この議論は入門書であることもあり、簡潔に書かれている。説明が足りないと感じたが、それはサールの専門的な論文を読んで検討するべきだろう。一つの独自の見解としては、十分に提示されていると思う。

ここまでが心に対する一般的な見解の検討。それ以降は個別のトピックの議論である。志向性、心的因果、自由意志、無意識、知覚、自己。これらは専門的であり、それ以前に比べてやや難しい。特に志向性の議論はかなり難しいのではないだろうか。分析哲学の他の知識が必要とされるため、一読では難しいだろう。だが、議論は丁寧になされている。折りに触れて読み返す価値のある部分である。また、すぐには納得できない議論も含まれていた(ヒュームの因果論批判への応答など)。

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