バベットの晩餐会 の感想

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参照データ

タイトルバベットの晩餐会
発売日販売日未定
製作者イサク ディーネセン
販売元筑摩書房
JANコード9784480830968
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

「バベットの晩餐会」は、ここ数年で読んだ中ででいちばん心に残っている小説だ。良い作品は読み終わって、何ヶ月経っても何年経っても、感動が色あせないばかりか、折りに触れてよみがえり、また新しい発見や考えの端緒を与えてくれる。この作品もそうで、読み終わったときは、なんともいえず後味の良い印象が残ったのを覚えている。たぶん童話のように平易な文章のために、美しい物語だと、その時はそれで終わったが、読み終わって何年も経った今、何かのきっかけで思い出し、この作品のテーマの奥深さに思い至ったのだった。

それは、芸術の意味、ということ。

バベットは富くじで手にした大金で、そのお金があれば一生安泰に暮らせるほどの大金で、彼女の愛する姉妹と姉妹の親しい人たちのための一度きりの晩餐会を開くことに決める。

かつて、王侯貴族の料理人だったバベットの芸術的な料理の才能の全てが注がれた料理は、彼らを幸せにした。一晩の夢のように幸せな時。この作品は教えてくれる。芸術とはこのようにして人々に奉仕するものなのだ、と。そして、本当に幸せなことは、バベットの料理、その芸術が、初めてそれにふさわしい主人に出会えたこと。このように幸せな出会いがいかに稀有なものであるか。それがこの作品の世界をこんなにも幸せに喜びに満ちたものにしている。芸術にふさわしい主人は、この姉妹のような人々。働き続ける善良な人々。芸術に関して知識を持っている人、芸術のパトロンになれる力を持っている人はたくさんいるが、芸術が真に奉仕するべき相手はそれではなく、芸術のことを何も知らなくてもそれによって幸せになれる人、その喜びに値する人のことなのだ。

だから、たった一晩だけなんて、と嘆くことは何もない。一瞬が永遠の意味を持つこともあるのだから。

映画化作品も原作の世界を忠実に表現しているので、DVDが現在発売されていないのがとても残念です。

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筑摩書房から発売されたイサク ディーネセンのバベットの晩餐会(JAN:9784480830968)の感想と評価
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