Mathematical Methods of Classical Mechanics (Graduate Texts in Mathematics) の感想

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タイトルMathematical Methods of Classical Mechanics (Graduate Texts in Mathematics)
発売日販売日未定
製作者V.I. Arnol'd
販売元Springer
JANコード9780387968902
カテゴリ » 洋書 » By Publisher » Springer

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 本書の邦訳版は 1980/05 に岩波書店が"古典力学の数学的方法"と題して初版発刊しました。本書は原書「Mathematical Methods of Classical Mechanics」第2版です。

 名著に推挙できる大きな特徴が2つあり、まず数学的厳密性に妥協する事無く数学者が解析力学を論じたと云う点。それと応用されている数学の各論について相当突っ込んだ内容に触れている事です。 理論の数学的処理・解釈が丁寧・厳密ですが、特に後半が難解です。サイエンスの教科書らしく、英文自体には"くせ"は無く素直な表現です。解析力学を十分にこなした履修経験者が読めば数学的に厳然と整理された非の打ち所の無いハミルトン形式の古典力学に新たな洞察を覚えるだけでなく、高度な数学力をも体得できます。

 また、本文と同じくらいの分量の付録があり、2次のHamilton函数の標準形や、条件周期運動の摂動論とKolmogorovの定理、Lagrange特異点他、びっしりと数学解説が載っており、痒い処に手が届く数学解説の宝庫です。まず多様体を理解し、絶えず多様体の性質を意識して読めば幾分円滑に進みます。多様体についての鍛錬、力学系の勉強もお勧めします。

 余談ですが、多次元の架空のオブジェを座標を持ったグラフのように想定し、そこに成り立つ変数の定量的な関係に微積分の方法を厳密に導入したのが多様体です。そして多様体から座標を取り払って伸縮自在にしたのが"位相幾何学"であり、多様体の微分の概念をさらに一般化した微分形式を使って発展させたのが"微分幾何学"です。多様体に設定する座標は自由自在であり、任意の座標を採用しても変わらない普遍的な多様体の構造や性質をさらに明らかにしていく事が、本書をはじめ、その先に展開される数学の道を開きます。これが"位相"や"多様体"が現代数学の出発点と位置づけられる所以です。

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