標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から の感想

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参照データ

タイトル標本の本―京都大学総合博物館の収蔵室から
発売日販売日未定
販売元青幻舎
JANコード9784861523854
カテゴリ » ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 美術館・博物館

購入者の感想

 突然剥製がこちらを見つめていたり、たくさん並んでいるガラス瓶に「なんだろう」と近づくと魚だったり、爬虫類だったり。添えられた文章は短いが、豊富な写真からいろんなことが伝わってくる。「これはなんだ?」と近づいて行き「わかった時」の驚き。読みながら素直にそんな風に感じるのは、「はじめに」にも書いてあるが、研究者や専門家でない人たちの博物館の目線でまとめようとしたからであろうか。京都大学の総合博物館を紹介する本であるが「収蔵物の価値」をなかなか上手く伝えてくれるという点では「博物館の価値」を見直す本といえるだろう。

 同じような標本がただたくさん並んでいるだけでも、脳が勝手に「比較し」たり「数え」たり、何かをみいだそうとする。その写真の横に『「コレナンダ」「オマエゼッタイチガウ」分類学者は標本と”対話”しながら、研究を続ける』というキャプション。リアルすぎて笑いを誘われる。同じものがたくさんないと解らないこともたくさんある、という説明も的確。収蔵室は普通は関係者以外はいれないものだが、その収蔵棚にずらりと並んだ包み、不安定に積み上げられた箱からも、何かが伝わってくる気がする。
 「研究の内側」の説明もある。「研究者はこんな風にやっている」というさまざまな技術や方法を知るのも楽しい。植物を包んで持ち帰った昔の新聞紙自体が「歴史の証人」の価値になったりという話には、さまざまなことが意外なつながりをみせることを知った。博物館は、上手に見ればなかなか刺激的なのだ、と改めて感じる。

 最後の章もちょっと違った角度で面白い。研究者について行って「河川敷のフィールドで捕獲し、標本を作ってみた」というものだ。体験者が何度か描いたフィールドのスケッチが載っていて、だんだん風景の印象が「なにもない草の土地」から変わっていくのがわかる。そして作った標本とともに、収蔵室に有った標本を「河川敷の生き物」として並べてみた見開きの頁。「現場」と「標本」がつながっている、と驚きとともに実感したのが伝わってくる。

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