冤罪はこうして作られる (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 冤罪はこうして作られる (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 小田中 聰樹 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061491458 |
カテゴリ | 社会・政治 » 法律 » 司法・裁判 » 一般 |
購入者の感想
ぼちぼち面白かったです。2週目は要りません。
_本書を読めば,いかに警察が強引に自白を引き出すために暴力・偽計・拷問・甘言・詐術を行っているかがわかり,誰もが警察に事件のめぼしとされたら犯罪者に仕立て上げられるかが分かります。
_松川事件,布川事件を主に取り上げ,容疑者の取調べ段階から公判について,時系列に沿った順序ではないが,いかにして容疑者(被告)が冤罪を受けるかが詳しく解説・検討されています。
_裁判官の事実認定について,どこがどう論理的におかしいか間違っているかがかなり具体的にピックアップされて指摘されています。
_私が本書を読んで一番印象に残った記述は,p212ページの”あるベテラン刑事”の発言として書かれている次の台詞です:「人間はな,そんなに強いもんではないよ。細かな所はどうでもいい,キメ手などは出さんでもいい,ただ殺しを自供させてくれ,と被疑者をあてがわれれば,3人でも4人でも同じように自白させて見せるよ。今時そんな事が,という顔をしているナ。何ならやってみるか。お前さんでもいいよ。お前んとこは刑事の手の内を多少聞きかじっているから,少しゆとりを見て,そう3日でいい。3日あったら,お前に殺人を自白させてやるよ。3日目の夜,お前は,やってもいない殺人を,泣きながらオレに自白するよ。右のとおり相違ありません,といって指印も押すよ。」
これが,まさしく国家権力を盾にしたゴミの思想だと分かりますし,人は強権と共に何年も生きているとこのように思想が侵食されていくと恐ろしさを感じます。こういうゴミが冤罪を日々量産して言っているんだなぁと感じさせられます。
_冤罪がなぜ生まれるかを解り易く纏めている所は,「第6章裁判官はなぜ誤るか」ですので,この章から読み進めることをお勧めします。7章は冤罪を生まないための著者の提言です。
_本書を読めば,いかに警察が強引に自白を引き出すために暴力・偽計・拷問・甘言・詐術を行っているかがわかり,誰もが警察に事件のめぼしとされたら犯罪者に仕立て上げられるかが分かります。
_松川事件,布川事件を主に取り上げ,容疑者の取調べ段階から公判について,時系列に沿った順序ではないが,いかにして容疑者(被告)が冤罪を受けるかが詳しく解説・検討されています。
_裁判官の事実認定について,どこがどう論理的におかしいか間違っているかがかなり具体的にピックアップされて指摘されています。
_私が本書を読んで一番印象に残った記述は,p212ページの”あるベテラン刑事”の発言として書かれている次の台詞です:「人間はな,そんなに強いもんではないよ。細かな所はどうでもいい,キメ手などは出さんでもいい,ただ殺しを自供させてくれ,と被疑者をあてがわれれば,3人でも4人でも同じように自白させて見せるよ。今時そんな事が,という顔をしているナ。何ならやってみるか。お前さんでもいいよ。お前んとこは刑事の手の内を多少聞きかじっているから,少しゆとりを見て,そう3日でいい。3日あったら,お前に殺人を自白させてやるよ。3日目の夜,お前は,やってもいない殺人を,泣きながらオレに自白するよ。右のとおり相違ありません,といって指印も押すよ。」
これが,まさしく国家権力を盾にしたゴミの思想だと分かりますし,人は強権と共に何年も生きているとこのように思想が侵食されていくと恐ろしさを感じます。こういうゴミが冤罪を日々量産して言っているんだなぁと感じさせられます。
_冤罪がなぜ生まれるかを解り易く纏めている所は,「第6章裁判官はなぜ誤るか」ですので,この章から読み進めることをお勧めします。7章は冤罪を生まないための著者の提言です。
他の本である程度冤罪について学んだ読者にとっては、本書はつまらない本と感じられるだろう。
この本で述べられている冤罪が生まれるメカニズムは、他書でもよく取り上げられている常識的なものばかりであり、本書から目新しい冤罪の原因を学ぶことはできないからである。
しかしそれは裏を返せば、本書が、これまでの冤罪に関する議論をきれいに分類し総まとめした有益な基本書であることを意味することにもなる。
このような性質からして、この本一冊で冤罪に関する議論の勘所を的確におさえることができる。これから冤罪について学びたいという読者はまずこの本から入ると良いと思う。
この本を読み終えたら、秋山賢三『裁判官はなぜ誤るのか』や、浜田寿美男『自白の心理学』に進まれることをお勧めします。0
この本で述べられている冤罪が生まれるメカニズムは、他書でもよく取り上げられている常識的なものばかりであり、本書から目新しい冤罪の原因を学ぶことはできないからである。
しかしそれは裏を返せば、本書が、これまでの冤罪に関する議論をきれいに分類し総まとめした有益な基本書であることを意味することにもなる。
このような性質からして、この本一冊で冤罪に関する議論の勘所を的確におさえることができる。これから冤罪について学びたいという読者はまずこの本から入ると良いと思う。
この本を読み終えたら、秋山賢三『裁判官はなぜ誤るのか』や、浜田寿美男『自白の心理学』に進まれることをお勧めします。0