上村松園画集 の感想

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参照データ

タイトル上村松園画集
発売日販売日未定
販売元光村推古書院
JANコード9784838103195
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

上村松園は、明治の美人画を代表する画家で、格調の高い女性美を確立した人でもあります。本書は、A4版という大きなサイズとしっかりとした紙質をもった画集で、倉敷芸術科学大学教授の平野重光氏や、鬼頭美奈子氏、青山訓子氏の解説や説明は詳しいものでした。

人間国宝・染織作家の志村ふくみ氏は「松園の母」で、追慕の情を示す画業に触れていますがその通りでしょう。フランス文学者の杉本秀太郎氏の「妣たちの国」に書かれている「京おんなという生きものの一瞬の姿」を捉えて描いたというお話も同感です。

「花がたみ」に惹かれます。狂気を昇華したような微笑の不思議さが見る者を魅了します。
中国の歴史に題材をとった「楊貴妃」のふっくらした女性美もまた格別です。堂々とした絵ですので、圧倒される思いです。
「焔」の迫力もまた松園の力量を物語っています。凄艶という表現がぴったりです。
若き日に描いた「人生の花」や、切手にもなった「序の舞」、「月影」、「夕暮」、「晩秋」など名画はいつ見ても美しいです。「待月」のたおやかな後ろ姿、「娘深雪」の愛らしさは見飽きることがありません。

「新蛍」や「男舞之図」を見比べてもそうなのですが、松園の描くモデルの美人の表情は一見して似通っているように見えますが、微妙に違う表情をもっています。松園は「美人」のイメージをしっかりと持って、目の前にあるモデルの表情を写し取るのではなく、心の中にある心象風景的なイメージを大切にしたのでしょう。昭和23年に女性で初めて文化勲章を受章するなど、その功績は図り知れません。
高級感のある本書は上村松園の絵画を大切にする人に喜ばれると思います。

 奥ゆかしいなかに品がある、そうした日本女性の静けさを湛えた美しさを描き上げていった上村松園(うえむら しょうえん 1875-1949)女史。
 日本髪を結い、着物を着た女性が、団扇片手に佇む、涼しげな立ち姿を描いた絵。胸に抱いた幼子を、愛しそうに見つめている母親の絵。艶やかな着物を着た女性が、扇を手にきりりと舞う姿を捉えた絵。
 本画集に収められた九十七点の絵を眺めていくうちに、古き良き日本の女の内側から輝き出す気品が、すーっと胸に沁み込んで来る心持ちになりました。山本周五郎や藤沢周平、平岩弓枝といった時代小説の名手が描き出した時代小説の中の女性たちが、ここに美しく息づいている、そんな気持ちにもなりました。

 縦(高さ)305mm×横265mm×厚み23mm の、ずっしりとした重量感のある大判の画集。平成六年(1994年)発行『上村松園』の新装版。
 同じく日本画家の息子、上村松篁(しょうこう)の「序」文を巻頭に、本画集によせた杉本苑子「花の浄土」と梅原 猛の「理想の女性像を求めて」、三期に分けて掲載した全九十七点のカラー図版(美しい仕上がりの印刷は、まず申し分のない出来映えです)、松園女史の生涯ならびに「恋をテーマにした三部作とその周辺」について記した塩川京子の解説文、それに年譜と作品総目録を巻末に掲載した一冊。全238頁。

 印刷図版の色合いなど、絵の見ごたえが落ちるのと、絵の端々に記された活字がわずらわしく感じられる難点はありますけれど、松園のおいたちとその活躍、代表的な美人画の鑑賞のポイントなどを綴った加藤類子『もっと知りたい 上村松園 生涯と作品』(東京美術)は、なかなかの好ガイドブック。値段も手頃なこちらで、松園美人画の魅力にまず触れて、さらに本格的にその素晴らしい世界に入ってみたくなったら、図書館などで大判の本画集を手にとってみる、というのはいかがでしょうか。

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