未来を生きる君たちへ [DVD] の感想

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タイトル未来を生きる君たちへ [DVD]
発売日2013-06-28
監督スサンネ・ビア
出演ミカエル・パーシュブラント
販売元角川書店
JANコード4988111244253
カテゴリDVD » ジャンル別 » 外国映画 » ドラマ

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大人社会では何か不条理な状況に遭遇した時でも、それが根本的な解決にならないことが分かっていながら、その根源になる膿を取り除くことを避けて、表面的な取り繕いに腐心してしまうことが儘ある。少年クリスティアンは人間の尊厳を踏みにじるような行為に対して断固として報復を始める。それは彼自身の尊厳がひどく危うい状態に曝されていたからなのかも知れない。クリスティアンは彼の母親を癌で亡くした時、父親の無力さを直感的に見抜いてしまった。たとえ裕福な家庭に育っても、父親の精神的な不在は彼を孤独に追いやって孤軍奮闘の淋しい日々を過ごさなければならなかった。一方エリアスは崩壊寸前の別居する夫婦の間に挟まれた、事なかれ主義のいじめられっ子だ。だが一度クリスティアンに窮状を救われてからは彼の親友になる。2人の少年の報復手段は粗野で危険極まりない方法だったが、結果的に劇的な効果を発揮した。アフリカの難民キャンプで医師として治療に当たるエリアスの父は、暴力に屈しない忍耐の美徳を少年達に教えようとしたが、彼自身不条理な役回りに切れてしまう。それが忍耐とは全く別なものであったことを認めざるを得なかったからだ。伏線になる穀物倉庫の高い塔も印象的な効果をあげている。クリスティアンがエリアスを巻き添えにして殺してしまったと思って塔に上る時からラスト・シーンまでは涙を禁じえないほど美しく描かれている。

こうしたテーマを扱った作品は過去にもあったような気がする。スサンネ・ビア監督は子供達の世界にも立派な尊厳が存在することを教えてくれている。そしてそれが侵害される時、彼らは本能的に尊厳を死守するための行為に向かうこともあり得るのだ。それを解決できる鍵を握っているのは、温かい家族愛なのではないだろうか。心理的で重いテーマを扱っているために、気楽に鑑賞できる作品ではないが、それだけに感動という言葉が余りにも陳腐に思える、ある種の精神的な高揚をもたらす秀作だ。

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角川書店から発売されたミカエル・パーシュブラントが出演のスサンネ・ビアの未来を生きる君たちへ [DVD](JAN:4988111244253)の感想と評価
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