日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? (星海社新書) の感想

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参照データ

タイトル日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? (星海社新書)
発売日販売日未定
製作者今野 晴貴
販売元講談社
JANコード9784061385320
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

とても勉強になる書籍でした。

労働者にとっての「権利」が国から全て一律に保証されているものではないのだということ。
では、その権利をいかにして行使すればよいのかということ。

終身雇用や年功賃金を維持できなくなったにもかかわらず、多くの企業は労働者に対して強大な命令権を用い、最悪奴隷のような扱いをする始末。それは正規、非正規を問いません。
労働によるうつ病や過労死、自殺も相次いでいます。過剰なまでに夢や目標、努力ややりがいを押しつける割に、それが元で人間が壊れても知らん顔をされるのが現状です。

自営や就職を問わず副業や複業など、様々な生き方のモデルが生まれているこの時代に、右肩上がりだった時代の価値観を当てはめることは不可能になりつつあります。

経営者や労働者の多くは過去の幻想の下に経済を維持しようと、不毛で苛烈な競争を繰り返しているような気がしてなりません。
グローバル化が叫ばれながらも、この国の労働市場における価値観というものは閉鎖的、排他的です。
2013年、日本は国連から異常な労働環境を是正するよう通告を受けています。
この労働環境の変革というものも、個人で行うことは不可能であり、少しでも多くの国民が声を上げてゆくことが大切なのだと本書を通じて知ることができました。
その為に労働者は権利を行使する術を知っておいた方がよいのです。

これから労働環境が少しずつでも変わっていき、「努力や頑張りはきっと報われる」とか「報われないのは自己責任」などという無責任な言葉が飛び交い、そんな言葉を真に受けて命や心を壊されていく人々が一人でも減っていくことを願ってやみません。

仕事に対して異常なまでに高い意識や崇高な理念がなくとも、「普通の人」が生きていける国へ。

その為に自分もできる範囲から勉強し、行動していきたいと思います。

ブラック企業関係の著作で有名な著者が、様々な労働者の相談を受ける中で日本の労働を変えるための提言を行っています。若者の労働問題をライフワークにしている著者だけあってその中身は大変説得的かつ具体的です。

新書にも関わらず本書の内容は多岐に渡っています。まず本書は労働関係の法について「普通の人」の誤解を解くところから始まっています。次に海外と比較しながら日本の労働、特に労働組合の特殊性について説かれます。日本の企業別労働組合は有名ですが、本書はそれが実際にどのようなメリットと弊害を生むのか、さらにどうブラック企業の形成に関わってくるのかまで踏み込んで書いています。

最後に日本の労働を変えるために具体的にどうすればいいかも書かれています。その内容は一言で言えば「普通の人」の利益を雇用形態に関わらず一つにまとめることです。これに絡めて安倍内閣の限定正社員などの政策についても書いていますが、ここもマスコミの報道と大きく違う切り口で語られている点が非常に面白いです。

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